ブルース・スプリングスティーンの名曲ベスト40選

38位→36位

38位 「おまえのために」/『アズベリー・パークからの挨拶』(1973年)収録



スプリングスティーンが得意とする、キャラクターが登場する初期のストーリーソング作品のひとつ。救急車の中で、語り手がガールフレンドと話している。彼女は自殺を図ったようだ。スプリングスティーンのガールフレンドだった、ダイアン・ロジトがモデルになっているという説もある。この曲を「事実を捻じ曲げて書いた」作品のひとつと称するスプリングスティーンは、「罪人を守るために登場人物の名前を変えた」と証言している。ステージ上では、「1971年のこと。当時付き合っていたガールフレンドとの関係がこじれていた。1週間ほど留守にして帰宅すると、彼女が俺の部屋の壁を真っ黒に塗りたくっていた。いや、正確に言うと真っ青に塗ったんだ」と曲を紹介した。

37位 「ノー・サレンダー」/『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』(1984年)収録



アルバム制作のセッションも終わりに近づいた頃にレコーディングした、挑戦的なアンセムだったが、当初スプリングスティーンはアルバムへの収録をためらっていた。歌詞が意図せずロマンティックに聞こえないかと懸念したのだ。「人はいつでも我慢強く耐えて勝利できる訳ではない。妥協し、敗北することもある」と彼は言う。しかしヴァン・ザントがスプリングスティーンを説得した。「少しばかり『明日なき暴走』に似た雰囲気があったので、アルバムには不必要だろうと彼は思ったらしい。そこで俺は言ったんだ。“確固としたストーリーがあり、ユニークなテーマがあり、強い感情がある。何かに似ていてもいいじゃないか。はっきり言うが、ロックンロールは繰り返しで成り立っているものだろ”ってね。」

36位 「シャット・アウト・ザ・ライト」/アルバム未収録のB面曲(1984年)



「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」がアメリカンドリームを肯定した曲か或いは否定的な曲かを知りたければ、シングル盤を裏返して、感動的なB面曲をかけるだけでよい。「シャット・アウト・ザ・ライト」は、ベトナム戦争に従軍した退役軍人のロン・コーヴィックの著書『7月4日に生まれて(Born on the Fourth of July)』にインスパイアされた楽曲だ。ソフトなアコースティックギターの伴奏とスージー・ティレルのバイオリンに乗せて、スプリングスティーンがベトナム戦争後の酷い精神的な後遺症について歌う(彼は歌詞から2箇所を削除したが、そのうちのひとつは、主人公のドラッグ問題を示唆する内容だった)。『ボーン・イン・ザU.S.A.』のスタジアムツアー中に彼は、「この曲は、家を出たものの帰り方がわからなくなった人のことを歌っている」と紹介した。

Translated by Smokva Tokyo

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