ブルース・スプリングスティーンの名曲ベスト40選

16位→14位

16位 「暗闇へ突走れ」/『闇に吠える街』(1978年)収録



Eストリート・バンドの輝きが目覚ましいアルバム『闇に吠える街』からの1stシングル曲で、英雄的なロッカーは何度も推敲を重ねた。スプリングスティーンの著書『Songs』には、9ページに渡る手書きの原稿が掲載されている。彼曰く「暗闇へ突走れ」は、元々「歌詞がほとんどないコーラス」だった。曲のインスピレーションとなったのは、彼がニューヨークで利用した時に閉口したタクシーのドライバーだという。「彼は、人はいつでも何かを誰かに証明しなければならない、ということを喋り続けていた」とスプリングスティーンは、1978年に行ったコンサートでオーディエンスに向かって語っている。「彼は、“家に帰る時は妻に証明”し、“仕事を始める時はボスに証明”しなくてはならない、と言っていた」

15位 「7月4日のアズベリー・パーク」/『青春の叫び』(1973年)収録



海岸に押し寄せる波のようなダニー・フェデリチによるアコーディオンと、透明感のあるスプリングスティーンによるリードギターは、まるでザ・ビーチ・ボーイズの「サーファー・ガール」の精神を引き継いだ子孫のようだ。スプリングスティーンの最も感動的な楽曲のひとつと言える。彼自身はかつてこの曲を、彼が音楽のキャリアをスタートさせたアズベリー・パークへの「ラブレターと別れの曲」と呼んだ。「水上のカーニバルライフ」のイメージからは、その後の作品にも見られる豊かなストーリー仕立てと背景描写の才能が伺える。曲中に登場する70年代のアズベリーは、間違いなくロマンティックに描かれている。「誰もボードウォークの下などに潜り込んだことはなかった」とEストリート・バンドのドラマーだったヴィニ・“マッド・ドッグ”・ロペスは証言する。「ボードウォークの下はネズミのすみかさ!」

14位 「ネブラスカ」/『ネブラスカ』(1982年)収録



スプリングスティーンは、1982年にリリースした飾り気のないアコースティック・アルバム『ネブラスカ』を「友人やコミュニティや政府や仕事から遠ざけられたらどうなるか、という米国民の孤立感を歌っている」と評している。印象的なタイトル曲を無表情に淡々と歌うことで、彼はチャールズ・スタークウェザーの心に入り込む。スタークウェザーは、ガールフレンドと共にワイオミングとネブラスカで11人を殺害した50年代の連続殺人犯だ。この曲は、テレンス・マリック監督の映画『地獄の逃避行』にインスパイアされて書いた。スプリングスティーンのアコースティックギターとハーモニカだけのシンプルな曲が、生々しく表現された歌詞にフィットする。「それまでとは違って最小限で作ってみたかった」とスプリングスティーンは言う。

Translated by Smokva Tokyo

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