尾崎裕哉、10年間の集大成的アルバムを語る 父・尾崎豊の存在と「変わり者」の美学

布袋寅泰をフィーチャリングした理由とは?

―なるほど。確かに「Rock’n Roll Star」には“窓ガラスを割った”“転げ落ちたベッド”“放課後のチャイム”など尾崎豊を感じさせる言葉がたくさん出てくる。でも、良い意味で遊んでる感がすごくして。ニヤニヤしながら書いてるんだろうなって(笑)。

尾崎:そこは意図して書いてますからね。そういうところで面白さを感じてほしいというか。サンプリングの面白さって要はそういうところなので。だってJAY-Zがどのレコードをサンプリングしてるかをつきとめるために、みんな一生懸命にいろんなレコードを聴いてるわけで。そういうのって今っぽいなって個人的に思うんですよね。だから詩の引用も俺は好きなんです。別に尾崎豊以外のリリックも引用するし。リリックじゃなくても詩人とか小説家のフレーズから勉強して取り入れることもあるし。



―その「Rock’n Roll Star」に関して言うと、布袋寅泰さんのギターがフィーチャリングされていますね。

尾崎:はい。どうでしたか?

―素晴らしかったです。ああいうギターを布袋さんに弾かせるのは贅沢だし、正解だと思いましたね。

尾崎:ね! いいでしょ!

―布袋さんとの出逢いは?

尾崎:共通の知り合いがいて、それで布袋さんのNHKホールでのライブを観に行ったりしました。「Rock’n Roll Star」はデビュー前から歌っていた曲でもあったんですけど、このタイミングでアルバムに収録するにあたりロックンロールスターにギターを弾いてもらいたいよねって話になって。布袋さんとは直接インスタで繋がってたんでDMを送ったんです。「アルバムの最後の曲が“Rock’n Roll Star”って曲で、アウトロを布袋さんに弾いてもらえたらものすごい幸せなんですけど、どうですか?」って感じで送ったら、マネージャーに連絡くださいって感じで返信が来たんです。で、音源を送ったらすぐOKって言ってくれたんですよね。

―おおっ。

尾崎:布袋さんはイギリス在住なので、デモを送ったら、その上に弾いてくれたのが返ってきたんです。布袋さんが他のアーティストの曲にギターでゲスト参加している曲、結構好きなんです。で、どういう感じのが来るんだろうなって思っていたら、音数も少なく想像以上に儚い感じで。そのタッチで来るんだって、最初聴いた時から震えましたね。やっぱり凄いなと思いました。

―ロックンロール全開のザ・布袋さんじゃないところが本当に良かったです。

尾崎:すごくエネルギッシュな、いわゆる布袋さんノリじゃないところの方がリアルな布袋さんだと実は思っていて。布袋さんのギターってとても詩的だし、彼のアルバムに対するコメントを読んでも、やっぱりアーティストなんですよ。

―確かに緻密なギタリストですよね。

尾崎:そう思います。よく考えているっていうか、深い人だなと思っていて。そういのがすごく表れていて、いろんな意味で良いコラボレーションだったなと思っています。

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