矢沢永吉、2000年代以降の作品を辿る

先週のおさらいをしましょう。1980年の終わりに矢沢さんは日本のファミリーを解散して単身アメリカへ渡って一からやり直したんですね。現地のミュージシャンと親交ができて、一緒にアルバムを作ったり、スタジオを共にしました。そのメンバーの中にはドゥービー・ブラザーズとかリトル・フィートのメンバーなど、西海岸を代表するミュージシャンやシンガー・ソングライターのアンドリュー・ゴールドもいました。彼とは、盟友としてその後もずっと活動を共にしましたね。ロサンゼルスだけではなく、ロンドンでもレコーディングをするようになりました。さらに日本を代表して、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで7万人のお客さんの前で、エルヴィス・プレスリーの歌を歌ったんですね。エルヴィス没後20年。その一方で、日本のテレビドラマにも出るようになったというのが先週の話でした。

今週は2000年代の話ですが、大きな変化がありました。矢沢さんは家族でロサンゼルスに移住してしまったんです。なぜそういう始まり方をしたのか? 本人のコメントと共にお送りします。Part4は21世紀編。まずは、2001年のアルバム『YOU,TOO COOL』から「背中ごしのI LOVE YOU」、当時52歳です。

背中ごしのI LOVE YOU / 矢沢永吉

『YOU,TOO COOL』は2001年9月27日発売のアルバムです。アメリカ同時多発テロの直後でした。もちろん制作期間はその前なので、そのことが反映されているわけでないですけど、アルバムが出た時にこの曲を聴いて、"明日はどっちだ"というのが21世紀の僕らの明日はどうなるんだ、という風に聞こえました。ポップ・ミュージックというのは、時にそういう偶然が違う意味をもたらしてしまう、そんな一曲でした。矢沢さんの21世紀の始まりは、やはりこういうタイトなロックンロールというイメージで、『YOU,TOO COOL』はそんなアルバムに思えたんですが、その中にもバラードが入っていて。今回のバラードベストでもそういう一面が強調されてます。矢沢さんは家族共々日本を離れてアメリカへ行った、それが50代の始まりでした。「背中ごしのI LOVE YOU」、2013年発売のベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM』よりお聴きいただきました。

2000年代に矢沢さんはアメリカに移住したわけですが、その頃の話を本人からコメントでお聞きいただきます。それに続いて、アルバム『YOU,TOO COOL』収録の「パセオラの風が」を10月21日に発売の3枚組アルバム『STANDARD~THE BALLAD BEST~』からお聴きいただきます。

Rolling Stone Japan 編集部

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