「落選はクーデターだ」トランプ支持者の荒涼とした現実

2020年11月8日、ヴァージニア州スターリングのトランプ・ナショナル・ゴルフクラブ前に集まるドナルド・トランプ大統領の支持者たち(Photo by AP Photo/Evan Vucci)

先週末、ジョー・バイデン候補の米大統領選挙当確を祝おうと、全米各地で人々が町に集まる一方、トランプ支持者らの多くは、票を盗まれたという大統領の虚偽の主張に固執したままだった。各報道媒体がデータをもとに報じたジョー・バイデン氏の大統領選挙当選という現実に不満をあらわにしている。

「ぜんぶ八百長です。開票中は違法行為がやまほど行われています」。ウィスコンシン州のトランプ支持者、ランディ・トヴィチさんはCNNの取材にこう語った。

別のトランプ支持者、ペンシルベニアのデニス・ティッピーさんはニューヨーク・タイムズ紙に、序盤の大統領のリードが一瞬で消えたことが不正の何よりの証拠だと語った。

「もし(バイデン氏が)本当にあれだけの選挙人数を獲得したというなら、不正や策略、あるいは単に犯罪で手に入れたに違いありません」とティッピーさんは言う。広範囲で不正投票が行われた証拠は一切上がっていない。

別のペンシルベニアのトランプ支持者ジェシカ・ベルさんは、いつ市民暴動が起きてもいいように四六時中張り付いてニュースを見ている、とタイムズ誌に語った。

「24時間、毎日TVのニュース番組をつけっぱなしにしています」とベルさん。「常にスマホでソーシャルメディアをチェックしています。投票日以降、ずっと6時間睡眠ですよ。一時も目を離さず注視しています……いつでも準備万端です」

ベルさんは「アメリカ人は口を封じられた」と自らの主張を述べ、トランプ大統領の落選は「クーデターだ」と述べた。

現地時間5日には、不正投票に関する偽情報を拡散していたグループ「STOP THE STEAL」が 「偽情報を拡散し、暴力を扇動している」としてFacebookから削除された。

【動画】敗北を認めず、持論を熱く語るトランプ支持者たち

AP通信も同じようなニュースを伝えている。全米各地の州都では7日、トランプ大統領の敗北を認めない群衆が集まった。ジョージア州アトランタでは推定1000人のトランプ支持者による「(選挙は)まだ終わっていない! 終わっていない!」「フェイクニュースだ!」という掛け声が響いていた。

抗議参加者の1人ジョーダン・ケリーさんは、集会に参加するためにテネシーからはるばる3時間以上かけて車を飛ばしてきた。彼もまた、選挙は操作された、という大統領の誤った主張を繰り返した。

「この選挙では不正がまかり通っています」とケリーさんは言い、さらにこう続けた。「私はテネシー在住ですが、同時にアメリカ人です。アメリカ人は選挙で発言権があることをはっきりさせたいんです」

AP通信は、一部地域ではトランプ支持者とBlack Lives Matters抗議者との間で軋轢があったと報じている。ペンシルベニアでは20名強のトランプ支持者らが、迷彩服に完全武装した姿で集会に参加していたという。

トランプとその仲間たちは前代未聞の暴力の種をまき散らしている。USAトゥデイ紙も指摘しているように、世界各地の「危険な紛争防止のために警鐘を鳴らす」ことを使命とするシンクタンク、国際危機グループは、初めてアメリカの動向に注視しているという。

「2020年アメリカ大統領選挙では、近年まれに見る危機が訪れている。投票中、あるいは長引く開票作業の間に、当然暴力沙汰が勃発するだろう。職員は厳重に警戒を強めていただきたい」と、同団体は警告した。

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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