キース・リチャーズが語るロックンロールの真髄、最高のリフを作る秘訣、BLM運動への共感

チャーリー・ワッツの助言と最高の出会い

―今、ストーンズの音楽制作を行っていて、近々ワイノーズのスティーヴ・ジョーダンとも会うことになっているようですね。音楽面での最近の課題はなんですか?

キース:俺は自分に課題を与えるのをやめたんだ。だって、ほら、現状を見てみろ。今年は本当に奇妙な年だぜ。こんなことは前代未聞だから、やることなすことインプロビゼーションで、みんな試行錯誤しているんだからな。

―隔離期間中、最も辛いことは何でしたか?

キース:観客がいないことだよ。バンドにとっちゃ本当に困ったことだ。でも、ほら、ライブ活動から締め出されるのは若手バンドで、連中の目の前で次から次へと扉が閉まる。今回はとんでもない苦境だ。俺らだってなんとか生き残ったわけで、その理由はみんなのために音楽を演奏することが俺たちの仕事だったからだ。つまり、現状ではそういう人が必要とされていて、人材が不足しているってこと。他のバンドと同じで、俺たちだって現状に対処しているだけなんだよ。

―現在はコンサートを行えない状況ですが、アルバム『Hollywood Palladium』のように、少なくとも過去に行ったコンサートを楽しむことはできます。あの頃の人生を振り返ったとき、どんなことが真っ先に思い浮かびますか?

キース:あの頃、ミックと俺に起きた出来事は、ある意味でローリング・ストーンズであることの罠にはまった感覚だった。まあ、これは冗談だけど、あれは行き過ぎだった。ただ、俺たちの関係はまさにあんな状態だった。俺にとって、あの時期はそれまでとは違う最高のミュージシャンと仕事できた最高の時でもあった。それこそ「なあ、これって15年前の自分を思い出すよ」的な。それに、あんなすごいメンツをバックバンドに迎えるなんて想像だにしていなかったね。



―あなたとスティーヴ・ジョーダンが意気投合した理由は何だったのですか?

キース:80年代のあの頃、チャーリー・ワッツが俺に言ったんだ、「どうも(ストーンズは)少しの間休暇に入りそうだ。お前が誰かと一緒にやるつもりなら、必ずスティーヴ・ジョーダンにしろ」って。つまり、変な話だが、チャーリー・ワッツがワイノーズの生みの親ってことさ。それに、最初にスティーヴと一緒にやったときには気付かなかったが、ソングライティングなど、最初は期待していなかったパートでも実りが多かった。つまりだ、あの時は一人のドラマーの助言に従って自分のドラマーを選んだだけだったが、スティーヴと一緒にやってみたら、二人だと出来ることがたくさんあることに気付いたというわけだ。それも全面的に互いを信頼しながらな。

Translated by Miki Nakayama

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