キース・リチャーズが語るロックンロールの真髄、最高のリフを作る秘訣、BLM運動への共感

自分の生活を嘘で塗り固めるなんて無理

―数年前、『アンダー・ザ・インフルエンス』というあなたが題材のドキュメンタリーで、あなたはソロ作品『Crosseyed Heart』を作る前に引退を考えていたとスティーヴ・ジョーダンが言っていました。明らかにそれは回避したようですが、引退について今はどう考えていますか?

キース:ショービジネスの手法の一つが、する気もないことをほのめかすことだ。だろ? あれは映画にありがちな演出だよ。ただ、俺がスティーヴに「ジーザス・クライスト、まったくよ、サイテーの夜だったぜ。もう、俺はやめる」みたいに言った可能性はある。ほら、そういうことを言うときがあるだろ? でも愚痴っぽく言うのと本気で言うのは違うからな。

―80年代終わりに、あなたは「キース・リチャーズでいるのは簡単じゃないが、それほど大変でもない。大事なのは自分を知るってことだ」と言っていました。自分を知るためにどんなことをしているのですか?

キース:80年代以降、行方不明になった部分もいくつかある(笑)。おかげで知るべきことが減ったけど、なあ、青年、よく聞けよ。俺たち人間はみんな、人生の何たるかを知るためにこの世にはまり込んで抜け出せないんだ。たぶん、あの頃の俺が言わんとしていたことは、19ぐらいから人の目に晒される生活を続けていると、世間の人は本当の俺と公の俺が同じだってことを忘れがちになる。そんなとき、本来の自分自身を知るとラクになることに俺は気付いた(笑)。もう一方のキース・リチャーズなんて気にしちゃいねぇし、外面なんてどうでもいい。自分の生活を嘘で塗り固めるなんて無理なんだよ。今年、俺は77になるんだぜ、まったく。自分の齢をちゃんとわかっているけど、だから何だって思うし、この齢を誇りに思うよ。今でも自分をもう少し知ろうとしているけど、物事は変化するだろ。そうやって人生が続くんだよ。静止するものは皆無ってこと。

―自分に対する自信を得たのがいつか覚えていますか?

キース:これは自分で見つけなきゃならないことさ。みんな違うからな。それに俺にもわからない。わかっていることは、人として俺たちはもっと良くなれるし、俺は自分のその部分を促したい。ただ、これは集団でやるものだと思うし、どんなことであっても、みんなが少しずつ良い方向に向かなくちゃいけない。さて、今日の説教はこれでおしまいだ。


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From Rolling Stone US.

Translated by Miki Nakayama

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