「共産主義者に抵抗せよ」トランプ敗北で極右武装勢力が不穏な動き

5月、米ニューハンプシャー州の反ロックダウン抗議運動に参加していたミリシアのメンバー(Photo by Michael Dwyer/AP)

ドナルド・トランプ政権下で台頭した「ミリシア」と呼ばれる極右武装勢力が利用するソーシャルメディア「My Militia」で、FBIビルの爆破を予告した男が逮捕された。

現地時間10日、当局は州をまたいだ恐喝容疑で米ニューヨーク州スタテンアイランド出身のブライアン・メイオラナ(54歳)を逮捕、起訴した。

裁判資料によると、検察側はメイオラナ被告がソーシャルメディアを使って抗議運動参加者や政治家に暴力をふるうと脅したと主張。メイオラナ被告は「『ターナー日記』を実現させなくては」という内容の投稿をしたようだ。『ターナー日記』とは連邦政府への抵抗を描いた1978年の小説で、白人至上主義者や極右過激派の愛読書。「FBIのビルを現実に爆破するのだ。選挙人制度が終焉を迎えた今……頭文字の略語で表されるすべての政府機関を狙った攻撃は日常茶飯事となるだろう」

「被告のような人間が、単に選挙結果への恨みから、選挙で選ばれた職員や合法的な抗議活動家、法の番人を脅迫している疑いがある時に、司法省は何もせず傍観するわけにはいきません」。ニューヨーク州東地区検事局のセス・デュシャルム連邦検事代理はこう述べた。メイオラナ被告の弁護人、ジェイムズ・ダロウ氏はローリングストーンのコメント取材を辞退した。

噂によると、メイオラナ被告はあからさまに暴力的な発言をしていたようだ。訴状によると、彼は数千人のユーザーが地元のミリシアとつながることができるWEBサイト「My Militia」に、Proud Patriot Sailorというハンドルネームでプロフィールを掲載し、武器についての情報を投稿していたとみられる。情報サイトViceによると、MyMilitiaの所有者は、イリノイ州ネイパービルで水道修理とカビ除去作業の会社を経営するジョッシュ・エリス氏。この春、ロックダウンに反対する抗議運動を主催した1人でもある。サイトは全米のミリシアや関係者を結ぶネットワーク網を形成している。また自作の手榴弾や火炎放射器、爆弾などの作り方をユーザーに伝授する『The Anarcihst’s Cookbook(アナーキストの料理本)』と題したPDFを掲載するなど、武器製作に関する情報の宝庫だ。

【動画】実弾で射撃訓練を行うミシガン州の民兵団体「Boogaloo Bois」

My Militiaのフォーラムは、連邦政府への反乱や憲法修正第2条万歳の煽情的な妄想にとりつかれた大勢のユーザーで大いに盛り上がっている。だが明らかに実用的な機能も兼ね備えている。カリフォルニア州立大学サンバナディーノ校の憎悪犯罪・過激思想研究センターのブライアン・レヴィン所長は、近所のミリシア支部を探している人、あるいは新ミリシアの創立メンバーを探している人同士をつなげるという意味で「ミリシア連中にとってのTinderのようなもの」とたとえている。「サイト上の全員が爆弾魔だと言うつもりはありませんが」と、レヴィン所長はローリングストーン誌に語った。「もし私が爆弾魔なら、きっとサイトをチェックするでしょうね」(My Militiaにコメント取材を依頼したが、返答は得られなかった)。

Translated by Akiko Kato

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