エルトン・ジョンも魅了したTikTok発の新星、サーフェシズが世界中から愛される理由

サーフェシズ(Courtesy of ユニバーサルミュージックジャパン)

全米で100万枚以上のセールスを記録した大ヒットシングル「Sunday Best」や、エルトン・ジョンとのコラボ曲「ラーン・トゥ・フライ」などで人気沸騰中のデュオ、サーフェシズが日本オリジナル・アルバム『Sunday Best』をリリース。TikTokからブレイクを果たし、世界総ストリーム数18億回を突破したライジングスターの魅力に迫る。

TikTok。たった3〜15秒の動画を投稿してシェアするサービスがほんの1、2年でこれほどまでに音楽シーンのありかたをすっかり変えてしまうなんて、思ってもいなかった。

19週連続でBillboard Hot 100の1位を独占するという記録を打ち立てたリル・ナズ・Xの「Old Town Road」は言わずもがな、ドージャ・キャットの「Say So」、ミーガン・ジー・スタリオンの「Savage」、ロディ・リッチの「The Box」などなど、TikTok発のヒットソングは枚挙にいとまがない。



最近では、フリートウッド・マックの「Dreams」(1977年)が43年ぶりにBillboard Hot 100のトップ10にチャートインして大きな話題になった。これは、アイダホ州のおっちゃん、ネイサン・アポダカがTikTokに投稿したゆる〜い動画がバズを生んだことによる再ヒットだ。



もっと重要なのは、新進のアーティストたちがTikTokで成功をつかんで、次々に羽ばたいていっていること。「Supalonely」で一躍スターになったニュージーランドのベニー、全米23位までチャートを駆け上がったローファイヒップホップ「death bed (coffee for your head)」で知られるポウフなどはその典型。最近も、女性たちからの共感を呼んだ「Mad at Disney」のセイレム・イリース、“2020年って最低”と歌った「F2020」で話題のアヴェニュー・ビートといった才能がTikTokをきっかけに知られるようになっている。いまや新人たちにとって、TikTokは成功への滑走路やカタパルトのようなものなのだ。

とはいえ、TikTokと音楽の関係は、全体像を把握することがとても難しい。ダンスチャレンジなどが自然発生的に起こってバズる場合もあれば、有名TikTokerの動画が火付け役になるパターンもあり、あるいはアーティスト本人の発信から広がっていくこともある。音楽がシェアされていく過程は毎回異なっていて、だからこそアーティストもリスナーも予想していなかった形で楽曲が偶然にひとびとの心をつかむことが起こりうる。

本稿の主役であるテキサス出身のライジングスター、サーフェシズの「Sunday Best」という曲も、まさにそんなTikTokでの予期せぬヒットによって広がっていった。パステルカラーのファッションに身を包んだ若き2人はどうやって成功をつかんだのか? 彼らの個性とは? そして、日本独自企画アルバム『Sunday Best』から聴こえてくる「サーフェシズ・サウンド」のおもしろさとは? ひとつずつ見ていこう。

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