触る、舐める、挿れる、極悪ポルノ男優の所業が長年見過ごされてきた理由

一人の女優の告発がきっかけに

警察に通報した女性たちはいずれもセックスワーカーではなかったが、初期のころには同僚から告発を受けている。ポルノ女優のジンジャー・リンさんは1980年代から1990年代初期にかけてもっとも稼いだポルノスターの1人だ。2003年、リンさんはラジオ局KSEXの自分の番組で、1983年12月撮影中にジェレミー氏からレイプされたと語った。これに対してジェレミー氏本人は、ポルノ業界サイトAVNとのインタビューで容疑を否認した。「彼女と楽屋に上がっていって、シャワーを浴びたら、そういう感じになったのさ。さよならも、気まずさもなし……俺たちは仲のいい友だちだった。友だちをレイプするなんてありえないだろ?」(ジェレミー氏はジンジャー・リンさんも含め、誰1人レイプしたことはないと言う主張を曲げていない。「私に対する疑惑に関しては、これらはインターネットや紙媒体でかなり長い間で回っていました」と、ローリングストーン誌の声明で語っている。「真新しいニュースでも特ダネでもありません」)

事件はしばらく業界のコメントフォーラムで話題になったが、それ以上発展することはなかった。「誰も気にかけてくれないかのようでした。何も起こらなかった」。リンさんは去る10月、この件に関してブログに投稿している(コメントを求めたところ、リンさんはローリングストーン誌にブログのリンクを送ってきた。「語るべきことはすべて私のブログ記事に書いてあります。あそこに書いたこと以外にお話しすることはありません」と、彼女のメールには書かれていた)。リンさんは結局ジェレミーと仕事を続け、2010年にはポルノ版『ソウ』のパロディ映画で共演している。

ジンジャー・リンさんの公開告発をきっかけに、別の女優達もちらほら名乗りを上げた。そのうちの1人がジェニファー・スティールさんだ。スティールさんはローリングストーン誌とのインタビューで、1997年にジェレミー氏から性的暴行を受けたと語った。1度目はアダルト雑誌の撮影現場で、2度目は同じ日にロサンゼルスのアパートで。

スティールさんによると、最初にジェレミー氏と会ったとき彼女は25歳で、オレゴン州ビーバートンの今はなきキャバレーStars Cabaretの専属ダンサーとして働いていた。ジェレミー氏がミス・ヌード・オレゴン大会の審査員として来店した際、彼女は彼に業界でブレイクするためのアドバイスを求めた(クラブの元従業員は、スティールさんが同時期クラブで働いていたこと、ジェレミー氏が大会に出席していたことを認めている)。

当時スティールさんはトップダンサーを目指していた。そうなれれば、全米のストリップクラブでかなりの高給で雇ってもらえる。彼女はジェレミー氏に近づいて、ポルノ業界で少しばかり名前が出れば、自分のキャリアにも役立つと思うと言った。すると間髪置かずに「彼は急になれなれしくしてきました」と彼女は言う。「後から振り返って、やめとけばよかった、と思ったことのひとつです」

Translated by Akiko Kato

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