ジミー・ペイジが大いに語る、レッド・ツェッペリンの歩みとギタリスト人生

ヒップホップに魅了された理由

ー80年代にボーナムのドラムが、ヒップホップのベースとなるサウンドに使用されました。あなたは後に、「カシミール」をフィーチャーしたパフ・ダディの曲でコラボレーションしています。ヒップホップを重視する理由は何でしょうか?

ペイジ:君は音楽環境のひとつの産物だ。僕はアコースティックギターやキャンプファイヤー的なスキッフルの楽曲を学び、少しずつエレクトリックギターの弾き方を覚え、自分のスタイルを築き上げてきた。僕はサー・リチャード・バートン(19世紀の英国の探検家)のように、ナイル川の源流を求めて探検したいのさ。君には君の環境がある。僕らの音楽作品のサンプリングは別にしても、ヒップホップは幅広い分野と彼らの聴いている音楽から影響を受けていることがわかる。さらに、別々のものを統合してひとつの芸術作品に仕上げる能力がある。素晴らしい。レッド・ツェッペリンが辿ってきた道と基本的に同じだからね。

カルチャー全体も、ブレイクダンスも、ストリートから来たあらゆるものを含めて、ヒップホップは魅力的だ。素晴らしいと思う。大胆さもいい。

パフ・ダディが一緒にやりたいと言ってきた時、僕は「いいね。サンプリングはさんざんされてきたが、実際にやるべきだよな」と感じた。良い話だと思った。彼の功績だ。彼がオーケストラを2組も用意していたのには参ったよ(笑)。そんな豪華なことはしたことがなかった。彼と『サタデー・ナイト・ライヴ』に出演したのも、驚くべき経験だった。何度かリハーサルして本番を迎えたが、演奏するたびに彼は違った。即興が得意なんだ。彼のやり方には感心する。



ー「カシミール」を違う視点から見られたでしょうか?

ペイジ:そうだな。「カシミール」のリフは円のように一周してから下降する。最後のレコードのブラスパートを聴いているようだ。まるで「胸いっぱいの愛を」のようだとも言える。ジェームズ・ブラウンやブラック・サバス、スヌープ・ドッグとのマッシュアップがネット上にあるのを見たことがあるかい? どれも「胸いっぱいの愛を」をベースにしている。リフが素晴らしいからさ。

ものすごく出来の良いマッシュアップもある。僕としては「素晴らしい。このリフがジェームズ・ブラウンとのコラボをインスパイアしたのなら、使ってくれて嬉しい。僕も仲間に入れてくれよ(笑)」という感じだな。「胸いっぱいの愛を」などを使ったこのような作品を見るのは楽しい。このリフを弾く時に笑顔になってくれたら、それは素晴らしいことさ。だから僕は演奏を続けているんだ。だから音楽を作りたいと思うんだ。



ー自分の作品を見直すきっかけになりましたか?

ペイジ:誰かの人生を変えたり、少しの間でもハッピーにするために音楽作品を作りたい。それが全てさ。覚えたてのいくつかのコードでスタートして、やがてプロになる。スタジオミュージシャンだろうがヤードバーズだろうがレッド・ツェッペリンだろうが、世に打って出ることを真剣に考え、人々に影響を及ぼす音楽を作れるようになる。そして、ジェームズ・ブラウンやロックンロール・トリオ、アルバート・キング、フレディ・キング、B・B・キング、マディ・ウォーターズ、ロバート・ジョンソンらから一生かけて学んだ全てのものを、若い世代へと受け継いでいく。誰かに影響を与えられたとすれば、それは素晴らしいことだ。

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From Rolling Stone US.

Translated by Smokva Tokyo

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