RADWIMPS15周年記念ライブ完遂「この世界にはまだない新しいメッセージを残していく」

縦と横のグルーヴを十二分に満たした音楽像を体現

「1年ちょっとぶりのライブで、やっとこうして面と向かって会えて。その喜びとともに大きな声を出して、愛し合って、叫び合って、確認し合って、そういうことができないもどかしい気持ちでいっぱいです。だけど、僕らが音楽を共有し合う空間を今日持てたということを何より誇りに思いたいし、これを一つのステップとして未来に向かっていくきっかけになったらいいなと思います。RADWIMPSのライブではあなたたちの声が世界で一番だと思っていて、それがRADWIMPSのライブの半分くらいを占めてると思うから。それがないのはもどかしいけど、普段はできないライブを表現したいと思います。コロナでできないことがいっぱいあってもどかしいけど、そこでうしろばかり向いてるとコロナの思うつぼで腹が立ってしょうがないから、コロナがイラッとするくらい、ムカつくらい思う存分、みんなで楽しみましょう!」


Photo by Takeshi Yao

そして、「新世界」へ。まさに新型コロナウイルスがなかった世界と新型コロナウイルスが蔓延する世界を対比させながら、未来の扉を開けようとする楽曲だ。以降、ライブのあり方は、ロックバンドの枠組みに束縛されないヒップホップやEDM、シンセポップのフィーリング、縦と横のグルーヴを十二分に満たしたグルーヴを誇る音楽像を体現しながら、この世界と生命の実相を浮き彫りにし、マイノリティの側に立っている人々の心の叫びを代弁するような楽曲を連ねていった。さらに「G行為」では大所帯のダンサーが登場。ライブはミュージカルのような様相になり、ステージチェンジのインタールードとして流れた「花火大会」ではダンサーたちがコンテンポラリーダンス然とした身体表現で大輪を咲かせる花火を描いた。

配信画面が会場内に設置された洋風の瀟洒な小部屋に切り替わる。ここで野田、桑原、武田の3人はアコースティックライブを披露。まずは「お風呂あがりの」でケルト/アイリッシュ風のアレンジが耳に心地いいサウンドを奏で、そこからシームレスに続けた「やどかり」の終盤で3人は再びアリーナへ。この2曲のために小部屋のセットを造ったと思うとなんとも贅沢だが、これも間違いなく普段とは異なる今回の特別なライブだからこそできる演出だ。

ピアノの前に座った野田が鍵盤を優しくタッチしながら再びオーディエンスに語りかける。新型コロナウイルスによって一変した世界、失われた自身のワールドツアー、魑魅魍魎が跋扈するように言葉の暴力が飛び交うインターネット社会への違和感、自ら命を絶ってしまう人たちへの思いを口にし、最後にこう付け加えた。

「人の言葉のイチを10にも30にも受け取ってしまうような優しい心がどうか、どうか、生き続けられるような世界であってほしいと心から願ってます。僕は15年前から世界は優しい人でできてると思ってます。そして、今を生きる人たちがそういう空気を、世界を作っていけると思います。優しい魂であふれることを、きれいごとと言われようが僕は信じてるし、みなさんと作っていきたいです。そんな、できそこないかもしれない僕ら人間の歌を歌わせてください」

鳴らされたのは、「棒人間」。冒頭から〈僕は人間じゃないんです ほんとにごめんなさい〉と歌われる、しかしそれでも真人間になることをあきらめない存在を活写するワルツだ。そこから「螢」、「告白」とバラードを繋ぎ、本編ラストへ向かっていった。

【写真ギャラリー】15周年を祝う特別なライブ空間(24点)

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