ビリー・ジョーが選出、グリーン・デイを象徴する15曲

ビリー・ジョー・アームストロング、ニューヨークのWebster Hallにて。2016年10月8日撮影(Photo by Ryan Pfluger/The New York Times/Redux)

グリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングがカバーアルバム『No Fun Mondays』を発表した(収録楽曲に関しては先日公開した記事を参照)。今回、グリーン・デイ『ファザー・オブ・オール… 』リリース時に掲載された2020年1月の記事をあらためて翻訳掲載。バンドのキャリアを象徴する15曲について語った。

ビリー・ジョー・アームストロングはギター講師にある質問をしたことを思い出す。この質問が彼の人生を変えた。「そのとき『曲ってどうやって作るんですか?』と聞いたんだ」と、47歳のグリーン・デイのシンガー・ギタリストがオークランドにある自宅スタジオで言った。「先生は『それはメロディ、サビ、メロディ、サビ、ブリッジ、メロディ、サビで、これを好きなように組み合わせればいい』とだけ答えた。

その後、アームストロングは講師のこの言葉しか考えられない状態になった。孤独、焦燥感、ドラッグ使用、それらに伴うマスターベーションなど、自分の成長を歌った3コードのアンセムは1994年以降の各世代の心に響き、この曲が収録されたデビューアルバム『ドゥーキー』1000万枚以上を売り上げた。パンクソングであれ、政治的なメッセージを持ったロックオペラであれ、アームストロングの曲作りのルールは変わらない。それは「観客の前では出来うる最上の正直さを保つ」ことだと彼は言う。「人が曲との深いつながりを感じるというのは、実は俺が自分の内側と深くつながろうとしているからなんだよ。すべてを超越するのはそれだけだと俺は思うね」と。

ヒット曲の中には5分で出来たものもあるし、長い時間を費やしたものもある。最近完成させた1曲は1993年から改良し続けたものだ。2020年2月にグリーン・デイは結成30年を迎え、彼らは13枚目のアルバム『ファザー・オブ・オール…』でバンドの最新サウンドをお披露目する。この作品は、彼の魂を刺激してくれるもの、つまりモータウン、エイミー・ワインハウスなどを「グリーン・デイというフィルターを通して」出来上がったと言う。タイトルトラックで彼がファルセットで歌う横でドラマーのトレ・クールがミッチ・ミッチェル風のビートでワイルドに叩きまくる。アームストロングはこれを「彼が叩いたドラムで最も狂気的プレイの一つ」と呼ぶ。

「ビリーは自分を追い込んで新しい境地を見つけようとした。俺たちはそんなビリーに追いつかなきゃいけなかった。これは当然のことだよ。だってビリー以上に深く追求するヤツなんて他にいないんだから」と、ベーシストのマイク・ダーントが言う。

取材中のアームストロングはフレンドリーだが、少しばかり打ち解けがたい部分もある。自分のやり方を説明するとき、彼は長い沈黙を挟みながら答えるのだ。会話の途中で話すのをやめて「粗野なヤツに思われたくない」と言う。いいね、クールだ。彼のバンドメイトであり、30年来の友人はかつてアームストロングを「天賦の才能を持った悩める男。ビリーの頭の中では18台のテープレコーダーが輪になって同時に鳴っているような状態だ。そして人と会話しようとするとき、彼は相手の目を見据えて『何だって?』という目つきをする」と表現したことがあった

これを教えると、すぐに「ヤロー、ふざけやがって!」と言ってアームストロングが笑う。「ヤツに何がわかるってんだよ」と。しかし、彼は曲作りの最中の自分の頭がどんなふうになっているのか自分でもわからないと認める。あれほどたくさんの楽曲を作っていても、しばらく曲作りしないと今でも不安になるのだ。「ほんと、『どうしよう、このまま曲が作れなくなっちゃうのかな』って焦るんだ。すると突然アイデアが閃いて、さっきまでの負け犬気分が世界に君臨する王様モードに一変する」とアームストロングは語った。

Translated by Miki Nakayama

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