北欧の音楽がメランコリックな理由とは?―彼らのクラフトマンシップと、日本人の職人気質が生み出す音楽にはどこか共通点のようなものを感じるのですが、亀田さんはどう思いますか?亀田:スウェーデンって、彼らのような超高等教育的なバンドを輩出している一方、たとえばアバやロクセット、トーレ・ヨハンソンがプロデュースしたスウェディッシュポップもあるし、さらにはバックストリート・ボーイズからテイラー・スウィフトまで手がけるマックス・マーティンのようなメガヒットプロデューサーもいますよね。つまり、欧米的なポップミュージックにも通じる音楽をたくさん生み出している国でもある。しかも、彼らの作るメロディはどこかメランコリックというか侘び寂びみたいなところもあって、実はJ-POPともすごく通じる気がします。今挙げた音楽はどれも、日本でとても人気があるじゃないですか。
―確かにそうですね。亀田:個人的にはクラフトマンシップや職人気質的な部分での共通点よりも、「メランコリックである」という部分でスウェーデンと日本の共通点を感じています。
ヘンリック:さっき白夜の話をしましたけど、12月は太陽が上がらなくてみんな暗い中で過ごすからメランコリックになってしまうのかもしれないですね(笑)。あと、スウェーデンの言語は英語よりも母音が多いので、話していると歌っているように聴こえるんです。それもいいメロディを生み出すことに影響を与えているのかもしれません。
亀田:なるほどね、面白いなあ。
―ところで、コロナ禍はみなさんの楽曲作りにどのような影響を与えましたか?亀田:僕は、コンピューターで音楽を作ってデータ交換する仕事が増えました。今までは、音楽というのはミュージシャン同士が膝を突き合わせて作らなければいけないものと思い込んでいたのですが、コロナを経験したことによって、意外とデータの交換でも音楽は作れるし、通信環境を強力にしていくことで、他にもいろいろな可能性があるのだなということを再認識しました。50代半ばにして、新しい音楽の作り方を習得している最中です(笑)。
ヘンリック:ミュージシャンとしてはライブハウスでお客さんを入れて演奏することができなくなって非常に困難な状況ですが、何か一つポジティブなことを挙げるとしたら、誰かの邪魔が入らなくなったこと(笑)。たとえば楽器の練習も集中して取り組めるようになりましたね。しかも時間ができたぶん、今までルーティンに陥りがちだったことを少し超えて、今までとは違う練習法にもトライしています。曲作りもとてもはかどっていて、今年はこれまでで一番多くレコーディングをしていますね。
―ということは、次の新作は前作ほど待たなくても聴くことができそうですか?(笑)ヘンリック:来月に出す予定です…… というのは冗談だけど(笑)、6年はかからないとは思いますね。すでにアイデアはあって、それを形にしているところなので。
亀田:楽しみだなあ。世界は今、こんな状況だけど、とにかく革新性の高い作品をこれからもたくさん出してもらって、そしてライブを早く観たいです。それが音楽の希望になってくれることを信じていますね。
ヘンリック:僕らもライブがやりたくてうずうずしています(笑)。また海外渡航ができるようになったら、真っ先に日本へ行きたいですし、これだけ演奏を我慢させられているから、これが解禁になった時は、これまで以上に楽しく喜びに満ちたステージになるんじゃないかなと思います。
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