音楽業界の未来、実はストリーミングではなくSNSが重要

先見の明がある投資家たちの資金が集まるオンラインでのカラオケや音楽制作が、音楽業界にとってますます重要なビジネスへと成長している(Photo by Griffin Lotz)


この2年の間に、ソーシャルメディアは音楽業界にとっての悩みの種から、正真正銘の金のなる木に変わった。

強い影響力を持つ音楽業界が次のトレンドを見出すにあたり、WMGは注目されてしかるべき存在だ。というのも、同社のSECファイリング(訳注:米国の証券取引委員会に提出する財務表あるいは公的文書)が謳うとおり、WMGは「他の大手音楽エンターテイメント会社よりも早くストリーミングに適応し、2016年には、ストリーミングが自社の音楽事業における最大の収入源であることを報告した最初の会社」なのだ。

サブスク型ストリーミングの成長の勢いが失速するいま、クーパー氏は、音楽業界を次の成長段階へと導いてくれるSNSプラットフォームのポテンシャルを声高らかに指摘している。彼が言う次の成長段階とは、アーティストのマーケティングおよびプロモーションのみならず、キャッシュという点での成長だ。「私たちは、音楽の黄金時代の入り口に立っており、チャンスはいたるところに転がっています」とクーパー氏は、11月にテレビ会議によって行われた業績発表で述べた。「サブスク型ストリーミングは、私たちにとっては始まりに過ぎません。私たちの長期的な成長を支える、数ある収入源のひとつでしかないのです」。

ソーシャルメディアが金のなる木であるというさらなる証拠として、先日ソニー・ミュージックエンタテインメントがTikTokと複数年にわたる初の大々的なライセンス契約を締結したことが挙げられる(それに加え、最低保証額という形でバイトダンスによる莫大な前金がソニーに入ったことも推測される)。欧米の音楽会社が今後も中国のライバル会社を模倣し続けるというなら——とりわけ、ソーシャルメディア、音楽ストリーミング、オンラインカラオケから成るテンセント・ミュージック・エンターテイメント(以下、テンセント)の牙城を目指すなら——その重大さはなおさらだ(2019年第4四半期にライブストリーミングやオンラインカラオケといった“ソーシャル・エンターテイメント・サービス”から7億7300万ドル[約806億円]を生み出したテンセントがユニバーサルミュージック・グループ、WMG、Spotify、さらにはアルゴリズムを使ったA&Rプラットフォームを運営するInstrumentalとインドのストリーミングプラットフォーム、Gaanaの株式を一部所有していることも忘れてはいけない)。

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先見の明がある投資家たちの資金、いわゆるスマートマネーが集まるオンラインでのカラオケや音楽制作が音楽業界、とりわけ世界中の音楽出版社にとってますます重要なビジネスへと成長している。音楽と一緒に独自コンテンツの制作をオーディエンスに促すTikTokやInstagram Reelをはじめとするアプリは、はやくもこうした動きのお膳立てをしていたのだ。そしてTikTokのライバルであるTriller(いくつかの大手レーベルが株式を所有)までもが今年の初めに音楽制作コンテスト、Step Up To The Micをスタートさせた。同コンテストの勝者には、レコード契約の他に、ラッパーのクエイヴォとテイクオフと一緒に楽曲を作成するチャンスが与えられる。それに加えて2週間前、SnapchatはVoiseyを買収した。Voiseyとは、プロのプロデューサーが手がけたビートやメロディーに合わせてアマチュアシンガーがハモりながら歌えるボーカル・コラボレーションが特徴の音楽制作プラットフォームだ。米カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とするシンガーソングライターのPoutyfaceはVoiseyで発掘されたアーティストで、現在はIsland Recordsと契約を結んでいる。

Translated by Shoko Natori

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