fox capture planが語る、コロナ禍でもライブで魅せるための試行錯誤

当日にライブ配信するのではなく、後日配信を選んだ理由

―アルバム『DISCOVERY』はライブでの再現性を一旦度外視して、音源としてのクオリティを重視した作品だったと思うので、それをどうライブで演奏するかというのもポイントだったのではないかと思いますが、実際いかがでしたか?

岸本:「Discovery the New World」とか「Sprinter」は、普通のピアノトリオ編成でやっても曲の持ち味が出なかったと思うので、同期がすごく重要でした。あと、「CROSS VIEW」とか「エイジアン・ダンサー」はこれまでもライブでよくやってた曲ですけど、ここまでオリジナルに近い形でやれたことは今までなかったので、リリースから数年経ってようやくライブで完全再現できたなって。クリックを聴くことによってグルーヴ感がなくなることもあるのかもしれないけど、逆に「エイジアン・ダンサー」みたいな一定のリズムでやる曲は、クリックありきの方がバンドのグルーヴのいい面が出るんじゃないかと思います。



―カワイさんはエレキベースを使う割合が増えましたね。

カワイ:今までfcpではあえてエレベを使わずに、エレベっぽいフレーズもアップライトでやってたんです。でもエレベは音がはっきり出るので、今回はもっと自然な形で聴かせられたかなって思います。

―「Sprinter」みたいな疾走感のある曲はやはりエレベが似合いますよね。逆に、今までよくアコースティックでやってたなって、今さらながら思ったりして(笑)。

カワイ:エレベで速めの8ビート弾くの楽しいなって最近思います(笑)。


Photo by Kayo Sekiguchi

井上:「3人でせめぎ合って、どんどん勢いを増していく」みたいなライブって、ライブハウスだとできるんですけど、今回は各々のプレイが全部クリアに聴こえた上でのアンサンブルで、場所に合ってたなと思います。




Photo by Kayo Sekiguchi

―今回のライブ映像は12月18日から配信されるそうですが、当日のリアルタイムの配信ではなく、時期をずらしての配信にしたのはどんな意図があったのでしょうか?

岸本:配信ライブが一般的になったのはつい最近の話ですけど、今回みたいに一回時間を置いて編集で作り込んでもらってから出すというやり方が、ひとつの形としてあっていいんじゃないかなって思ったんですよね。リアルタイムで観れるのは実際の会場にいるお客さんだけだという方が、来てくれた人にとってプレミア感を感じてもらえるとも思いましたし。

井上:映像作品を出す、という感覚ですね。しかも楽屋裏までカメラが入ってたので、当日観に来た人ももう一度楽しめると思います。


Photo by Kayo Sekiguchi


Photo by Kayo Sekiguchi

―今年はいろんなミュージシャンとライブの生配信について話しましたけど、やはりリスキーな側面は否めない、という意見をよく耳にしました。

井上:そうなんですよね。やっぱり会場で観るのと、家で冷静に観るのって、どうしたって空気感が違いますし。だったら、ちゃんと作り込んで、映像作品に落とし込んだ方がいいかなって。

岸本:生配信となるとスタッフにもプレッシャーがかかるから、現場に集中できるという意味でも、いいんじゃないですかね。生配信の案も上がってはいたと思うんですけど、結果このスタイルになってよかったと思ってます。

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