イギー・ポップとエルヴィス・コステロが語る、波乱万丈の70年代と「失敗を恐れぬ心」

エルヴィス・コステロとイギー・ポップ(Photo by Lens O’Toole, Courtesy of Iggy Pop)


コステロとイギーのコラボ秘話

コステロ:お互いに学んだことは、恐れない心だと思う。特に今の時期には必要なものだ。君はフランスでアルバムを作った。君はフランス語で歌い、ジョシュ・オムともアルバムを製作した(2016年の『ポスト・ポップ・ディプレッション』)。BBCで彼らと一緒にやっているのを観た。最後に「ラスト・フォー・ライフ」を歌っていたね。カメラの前を通り過ぎて、観客へと飛び込んでいった。「楽しそうだな」と思ったよ。当局が観たら「問題を引き起こすからすぐに止めさせなさい」と言いそうだったけどね。自分の好きなようにやる。それがロックンロールだと思う。僕らの共通認識は、最初のプランに固執して他のアイディアが出ないのは危険だ、ということ。初めのうちに素晴らしい作品ができたと思い込んでしまうと、ますますサプライズを作り出せなくなる。



コステロ:僕ははるばるヘルシンキまで行って、(『ヘイ・クロックフェイス』向けの)3曲をレコーディングした。最初の曲が「ノー・フラッグ」だが、これが良いきっかけになったと思う。君の有名な曲「ノー・ファン」から、1ワードと1文字を引用しているのだけれど、気づく人はいなかった。僕が君からインスパイアされているなんて、誰も思わないからね。僕は「自分に必要の無いものはなんだろう?」と考えた。バンドにベーシストはいるけれど、レコーディングには同行させなかった。僕は君とは違ってドラムを叩けないから、自分でドラムパートを歌った。たった3つのコードでも、フレッシュに聴こえるようにする方法を見つけなければならない。

「ノー・フラッグ」には、君の作品の多くに見られる「崖っぷちに立つ」という哲学的思想が流れている。「サム・ウィアード・シン」が頭の中にあったんだけどね。




イギー:それを聞いた時、僕もその曲が浮かんだよ。

コステロ:君が歌う“ピンで留められて”(stuck on a pin)というフレーズが、まず僕の頭に浮かんだ。キャリアの中で、標本箱の中にピン留めされた蝶のような状況もあっただろう。そんなピンは自分で抜いてしまわねばならない。僕はあの曲がお気に入りだ。

(新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから)イングランドにいる母親を訪ねるのが難しくなってしまった。彼女は93歳で、体調が良いとは言えない。心配だ。ロンドンに息子がいる。彼のことも心配だし、無事でいてくれることを願っている。ロンドンの状況は少し厳しいからね。僕自身に関しては、この状況をありがたく思いながら比較的穏やかに過ごしてきた。

ダイアナ(妻のダイアナ・クラール)と一緒に過ごしている。いつもなら2人のどちらかがウィチタのような街へ向かうツアーバスに乗って、子どもたちとも一緒にいられないところだ。それが僕らの生活さ。僕は、彼女が自分の曲を仕上げる様子を眺めている。普段ならそんな機会はない。彼女はだいたい上の階にある音楽ルームでミックス作業をしていて、僕は『ヘイ・クロックフェイス』の次の作品に取り掛かっている。

イギー:今年はツアーの予定が入っていた。ところが「ボン!」だ。夏に入って、残りの夏も「ボン!」と消えてしまった。だからすぐに筋肉を鍛え始めた。「頑張れ! 止めるな!」という感じさ。喘息と気管支炎を患ったことのあるおじさんにとって、コロナウイルスはとても恐怖だ。

「よし、スケジュールを組み直そう!」ということで、全部2021年に延期した。ところが時間が経つにつれ、2021年に実現するかどうかも怪しくなってきた。その時点で、中止を決めた。でも、「俺は何をやっているんだ? これからどうなるんだろう?」と毎晩うなされることだろう。

コステロ:ステージへ戻れた時は、気分が良いだろうね。ステージ上でどんな騒ぎになるか、今から楽しみだ!


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From Rolling Stone US.




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Translated by Smokva Tokyo

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