マイリー・サイラス激白「生死を分ける27歳」で気づいた本当の自分

恐怖感を全部飲み込んで、吐き出してやった

ー『ハンナ・モンタナ』が始まってからも、曲作りは積極的に続けていましたか?

曲はずっと書いてた。『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ2/ミート・マイリー・サイラス』(2007年)の曲は、「7 Things」(2008年作『ブレイクアウト』収録)のコラボレーターと一緒に書いたの。今の自分の尺度で見ても、「7 Things」はすごく真摯な曲だと思う。彼との初めてのセッションで、わたしは元カレのムカつくところを7つ挙げた。それで彼が「じゃあ“7 Things”って曲を作ろう」って言ったの。「フライ・オン・ザ・ウォール」は、メディアに対する苛立ちを表現した曲だった。わたしはその頃すでに、「おかしくなってしまったアメリカン・スウィートハート」っていうレッテルを貼られてたから。「あなたが壁に止まった蝿だったら、どれだけつらいかわかるはず」っていう風に感じてた。世間の目にはグラマラスに映ってたとしても。



ー番組と切り離してポップスターとしての実力を証明するのは、きっと困難だっただろうと思います。

ハンナのイメージがあまりに強かったから、わたしは進化しなくちゃいけなかった。自分はハンナ・モンタナのような成功を収めることはできないだろうって思ってた。リル・ナズ・エックスがパパのことを知ったきっかけは、あの番組だったらしいの。彼は子供の頃に『ハンナ・モンタナ』を観てて、いつかロビー・レイと曲を書きたいって思ったんだって。クィアのキッズたちのアイドルとしてのリル・ナズ・エックスのアイデンティティをインスパイアしたのが、子供の頃のわたしが出てた番組だっていう事実。あとトロイ・シヴァンは、わたしがカミングアウトした「マイ・ハート・ビーツ・フォー・ラブ」を聴いて、自分のセクシュアリティを受け入れられるようになったんだって。



幼かった彼らに自分が大きな影響を与えたって知るたびに、わたしはやっぱりハンナ・モンタナなんだって思い知らされる。マジな話、ハンナ・モンタナは架空のキャラクターなんかじゃない。あれはウィッグを身につけた普通の女の子の話で、要するにわたし自身のことなの。あの番組のコンセプトは素の自分。わたしはその事実を受け入れるしかなかった、架空のキャラってことにするんじゃなくてね。

ーマイリー・サイラスというポップスターとしても、同様の恐怖感を覚えますか? 過去の自分のイメージが常につきまとうということに。そういう恐怖感は克服できたと思ってる。今やってることと、今の自分に自信を持ってるから。わたしが欲してたのは、アーティストとしてリスペクトされること、そして自分の表現に誇りを持てるようなることだけ。それが献身と精励に付随するものだって知ってるから、わたしは本気でやってる。全力でね。

最初のうちは執着してた数字やヘッドラインも、だんだんどうでもよくなっていった。でも世間にもてはやされたり、ニューススタンドのあらゆる雑誌の表紙を飾ったりすると、今でもドーパミンが出るのを感じる。ちょうどいいバランスを見つけたことで、随分と楽になった。恐怖感を全部飲み込んで、吐き出してやったの。


Photo by Brad Elterman for Rolling Stone

Translated by Masaaki Yoshida

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