NYの救急救命士「私が生活費のためにヌード写真を公開した理由」

大勢の医療従事者が副業をしている

ーご家族はこのことをご存知ですか?

母にはちょっとだけ話したことがあります。母とはすごく仲がいいので、打ち明けました。他人の口から耳に入るという風にはなってほしくなかったので。

ーどう伝えたんです?

たしか携帯メールを送ったんだと思います。「ねえ、知っておいてほしいことがあるの。ネットでヌード写真を売ってるんだ」 母からは「OK」「がっかりさせちゃった?」と返したら、「いいえ、愛してるわ」 だいたいそんな感じで終わりました。安全には気をつけてね、とだけ念を押されました。相変わらず母は私を愛してくれています。

ー医療分野で他にOnlyFansをやっている人をご存知ですか?

ええ、もちろん。私たちの国や医療制度の実情を表していると思うんですが、ますます大勢の医療従事者がOnlyFansや他のセックスワーク、その他の何らかの方法で副業するはめになっています。それはひとえに、自分たちが一生を捧げた仕事では生活費が稼げないから。個々の医療従事者に限ったことではなく、アメリカ全体について言える事だと思います。

ーOnlyFansをやることに関して、複雑な思いを抱えているように聞こえますが。

ええ、当然ですよ。主体性については相当悩みました。どうせなら必要に迫られて投稿するんじゃなく、自分がやりたいと思ったときに投稿したいなとも思いました。他人が望むものではなく、自分の好きなように自由にコンテンツを作りたかった。でも最終的には、自分はOnlyFansに投稿しなくちゃいけない理由があるんだと考えるようになりました。いやでしたけれどね。こういうことが起きる以前は、ついていくのがやっとで、ページを閉鎖しようと思ったこともありました。主な収入源というわけでもないし、私がやりたいことでもありませんでしたから。私がなりたいのは救命士。全力を注いでやるようなものじゃない。だから、やむにやまれずという感じだったと思います。

ーどうしてポスト紙があなたの記事を掲載することがわかったんですか?

ディーン(ニューヨーク・ポスト紙のバルサミニ記者)がInstagramにメッセージを送ってきて、取材させてくれないかと言ってきたんです。どんな話題かと尋ねたら、電話で詳しくお話しします、と言われました。それで電話がかかってきて、いきなり私の過去とか経歴とか矢継ぎ早に質問してきました。それで、私も無知だったので、パンデミック中の救命士について記事を書きませんか、という依頼だと思ったんです。私が簡単に自己紹介を終えると、彼はその時初めて、ニューヨーク市の救命士がOnlyFansをやっているという情報がニューヨーク・ポスト紙にありましてね、と言いました。ものすごくビックリして、電話で反論し始めました。私の許可なくこの話を記事にするなどできませんよね、と言ったら、いやできますよ、と彼は答えました。あなたが取材に応じようと応じまいと、どのみち記事を掲載するつもりです、というようなことを言われました。なので、記事に出てくる私の言葉は彼に反論している時のもの。必ずしもインタビューを受けたわけじゃないんです。

Translated by Akiko Kato

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