会社との話し合いの結果、クビは回避
ー誰がポスト紙に情報を流したか、思い当たるふしはありますか?
さっぱりです。
ーどのみち記事を掲載すると言われたとき、頭ではどんなことを考えていましたか?
仕事をクビになるんじゃないかとすごく心配になりました。本名を表に出していたので、ニューヨーク市じゅうの救急医療の会社が私をブラックリストに載せて、二度と雇ってもらえないんじゃないか、と思いました。ここまで来るのにたくさん苦労したのに、この男にとって私はただのセックスワーカーの1人にすぎないんだ、私がこれまで何をしてきたか、何を成し遂げてきたかなんてどうでもいいんだ、という感じがしました。この記者にとって重要なのは、私がセックスワーカーだということだけだったんです。
ー電話を切った後、どうしましたか?
泣きました。一時期ウェストバージニアに戻って、母に事の次第を話しました。母はその間ずっとそばにいてくれました。それからソーシャルメディアのアカウントを全部非公開にしました。OnlyFansのアカウントは、電話を切ってすぐに削除しましたよ。私が言い出しっぺだとは思われたくなかったので、会社にも状況をメールで説明しました。会社に恥をかかせるつもりは全くなかったことを伝えたかったんです。とにかく被害を最小限にとどめようとしました。
ーメールしたとき、会社側は何と言いましたか?
会社は、直接会って話し合いたい、と言ってきました。メールではそれだけです。父が病気なのでいつ戻るかわからない、と伝えたら、会社側も食い下がらず、直接会いたいと言ってきました。私も反論して、いつ戻るかわからないと言いました。どうして電話では話せないのか、理由がわかりません。ですが今日、会社側と話をしたところなんです。初めて会社に今回のことを全部話しました。幸運にも、ほうぼうからいろんな人たちが応援して励ましてくれたおかげで、SeniorCareをクビにならずに済みました。でもこれだけは言わせてください、私はSeniorCareの代表者ではありませんし、会社の意見を代弁しているわけでもありません。
ーディーン記者から電話があって記事が掲載されるまで、実際は何日ぐらいでしたか?
彼から連絡があったのが感謝祭の翌日の金曜日で、記事になったのがこの間の土曜日。だから約2週間です。その2週間の間に、父が(COVID-19に感染した後)突然心停止を起こしたんです。父がそういう事態になったら、途端に記事のことは気にならなくなりました。私にとって大事なのは、父が生き延びて回復することでしたから。