新型コロナウイルスによって「ライブ音楽」は死んでしまうのか?

Photo by Ben Birchall/PA Wire/AP

新型コロナウイルス感染症が、ライブ音楽を壊滅させる可能性があるとエド・シーランのライブエージェントが警鐘を鳴らす。「全世界が規制のない移動を再開するまでは、どのような方法であれ、我々がよく知る“ツアー”というものはまったくもって実現不可能だ」と、長きに渡ってエド・シーラン、ラウヴ、アン・マリーのライブエージェントを務めているジョン・オリアーは語る。

近々新型コロナウイルス感染症のワクチンが出回るという朗報が伝えられる中、ライブ音楽業界とそこで働くプロフェッショナルたちが直面している問題への解決策は一向に出てこない。

正直なところ、暗いトンネルの先に見える一筋の光明に私たちは心躍っているが、このトンネルは想像以上に長いもので、世界中がまばゆい光に目を細めるようなるまでには、まだ相当の時間が必要なことも事実だ。ついにワクチン投与が実現するとはいえ、世界が直面する問題がすぐに解決すると考えるのは早計だし、考えが甘いと言える。

地球規模のコミュニティで今後どのように生きていくのかという点で、このワクチンが持つ事実上の意義を理解した上での全世界共通のコンセンサスが必要だと、私は強く思う。

ワクチンがもたらす有益性は国によって捉え方が異なるのは明白だが、全世界のすべての人々がすぐにワクチン接種を受けることはあり得ないというのが一般的な考え方だ。その代わりに、必要レベルに適したスライド制で最も脆弱な人々に優先的に投与されることになるだろう。つまり、私たちが「普通に」生活できるレベルの予防接種が実現するまでは、今後相当の時間を必要とするということだ。そこで、国境を超える側面だけに注目せずに、このワクチン戦略を踏まえて私たち自身が今後どのような生き方をするのかという点で、皆が納得できる国際的コンセンサスを形成するときに、この事実がどのような意味を持つのかを考えてみたい。そして、世界的コンセンサスを見つけられた場合、私たちは再び世界中を旅して歩けるようになるのだろうかについても考えてみよう。

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各国とも自国の新型コロナウイルス感染症問題の解決を最優先にして、長い戦いを強いられている状況だろうが、その一方で国境を開放することでこの問題の新たな火種を輸入する懸念があり、国境開放への警戒感が高まっていることも事実だ。国によって大きなイベントを解禁している所もあるが、国外のアーティストはその国に入国できないでいる。またその逆で、アーティストに他国への渡航を禁じている国もあり、いわゆるツアーがまったく実行できない状況なのだ。

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