米史上最悪の殺人犯が語る「私は世界で一人だけの存在、それは名誉ではなく呪いだ」

80歳で死亡した、アメリカ史上最悪の連続殺人犯と呼ばれたサミュエル・リトル(Photo by Mark Rogers/Odessa American/AP)

93人を殺害したという「米史上最悪の連続殺人犯」ことサミュエル・リトル受刑者が2020年12月30日朝、カリフォルニア州の病院で死亡した。享年80歳だった。

死因は明らかになっておらず、今後検視官によって特定されることになっているが、彼は糖尿病と心臓病、その他複数の疾患を抱えていた。リトルは複数の殺人罪で終身刑3回分を言い渡され、服役中だった。

1986年から1989年の間に南カリフォルニアで起きた3つの殺人事件の犯人として、リトルは2014年に最初の終身刑を言い渡されて収監された。しかしその数年後、彼は余罪についても自供し始め、1970年から2005年の間に全米各地で100人近くを殺害したと告白した。FBIは彼が長年逮捕に至らなかった理由について、被害者の多くの死因が薬物の過剰摂取死または事故死だと判断されていたためとしており、遺体がまだ発見されていないケースもある。リトルは他にもホームレスや薬物中毒者、そして売春婦を殺害したと供述している。犠牲者の多くは女性であり、ほとんどのケースの殺害方法は絞殺だった。

生涯を通じて殺人に手を染め続けた彼は、刑務所に入るまで全米各地を転々としていた。2018年にテキサス州のジェームズ・ホランド保安官は、ある殺人事件についてリトルを事情聴取した。彼はその事件とは無関係だったが、ホランド保安官に心を開き、他のどの捜査員にも語っていなかった事実について明かし始めた。彼らの対話は約700時間にも及び、リトルは彼だけが知る数々の殺人事件の詳細について語った。また彼は犠牲者を描いた絵やデッサン、その他の重要な情報をホランド保安官に提供した。死亡した時点で、リトルは93人を殺害したと供述していた。

2019年初頭、FBIはリトルの絵16点を公開した。「家族や隣人、友人など、犠牲者の特定に役立つ有力な情報を提供していただける方を探しています」。FBIの広報担当シェイン・ブッチワルドは、当時発表されたステートメントでそう述べていた。「我々はこれらの女性を特定し、答えを待ち続けている家族たちに真実を伝えたいと考えています。それが我々にできる唯一のことだからです」。FBIは同年後半、「犠牲者たちの無念を晴らし、ひとつでも多くの事件を解決する」ため、リトルがさらなる犠牲者の特徴等について語っている映像を公開した。

【動画】殺害の詳細を語る映像「死体はトウモロコシ畑に捨てた」

リトルの供述について現在も調査を続けている当局は、これまでに約60人の犠牲者を特定している。

リトルは1970年の大晦日に、マイアミで初めて人を殺したとしている。「まるでドラッグだった」。彼はホランド保安官にそう語った。「私は味を占めてしまった」。彼が最後に手を染めたのは2005年で、ミシシッピ州トゥーペロで人を殺害したという。犯した殺人について明かし始めてからも、彼は自らのことについては殆ど口を開かなかった。

昨年、『60 Minutes』に出演したリトルは自白した理由について、誰かが自分と同じ罪で逮捕されるのを防ぎたかったからだと語った。「自分のおかげで誰かが刑務所に行かずに済んだとしたら、神もほんの少しだけ私に微笑んでくれるかもしれない」。彼はそう語った。

「私のような罪を犯した人は他にいないと思う」。彼は『60 Minutes』でそう語った。「私は世界でたった1人の存在だ。それは名誉などではなく、呪いだ」

from Rolling Stone US

Translated by Masaaki Yoshida

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