SUGIZOが語る、縄文文明から日本人が学ぶべきこと

屋久島での体験からいろんな答えが見えてきた

-なるほど。それはめちゃくちゃ面白いですね。ジョン・レノンが「イマジン」で提唱した理想の世界は、実は縄文時代に実存していて、そこにSUGIZOさんが着目したと?

ジョンと比べられるのはおこがましいですけど、まさにそうで、実は過去にあったんです。しかも日本に。僕は今、この時代に日本人である理由をすごく考えているんですよ。コロナ禍で世界の分断が進んだ中、そこを乗り越えてポストパンデミックの新しい世界、社会を構築していかなければならない。そんな時、日本人のルーツを省みることがものすごく有効なんじゃないかって。そういう自分の中のインスピレーションがどんどん膨らんで、それが一気に溢れ出て音楽になったのがこのアルバムでした。だから、音楽を作っている時間はすごく短かった。大体2週間くらいで曲はできましたから。結局レコーディングで良いサウンドを追求するのに時間がかかったんですけどね。

-いわゆるプリプロと言われるものは2週間だったと?

そうですね。僕の曲作りはコンセプトや精神性やスピリチュアリティを広げていく工程がとても大事で、音楽はその先にあるものなので、楽曲制作にはそこまで時間がかかりませんでした。

-このアルバムの特徴のひとつに、フィールドレコーディングによる「地球の音」がありますよね。今回、フィールドレコーディングと写真撮影のために屋久島を訪れたとか。

縄文を追究していくうちに、屋久島にたどり着いたんですよ。屋久島にある縄文杉って、後から勉強すると縄文時代に関係があるわけではないらしいのですが、屋久島の強烈な生命のパワーに惹かれたのもあって、実際に行ってみることにしました。裸足で森の中を歩いたり、屋久杉が覆い茂る中で土砂降りの雨を浴びたり、すごく良い経験でしたね。今年のコロナでいろんなことがひっくり返ってガタガタになって、みんなも、もちろん自分にもいろんな苦労があったんですけど、悠久の時を生きてきた大自然の中にいるとそれも一瞬の出来事のような気がして。自分がすでにその段階で救われたんですよね。まだコロナは続いているけど、屋久島での体験からいろんな答えが見えてきて、今の世の中に対する自分なりのオピニオンを作品にしなきゃと改めて思いました。

【関連画像】屋久島の自然に囲まれたSUGIZOを見る(写真5点)

-素敵ですね。ちなみに、フィールドレコーディングではどんな音を録ったんですか?


水がメインで、他にせせらぎの音とか、いろいろです。今回のアルバムでは、屋久島以外の、以前パレスチナで録ってきた音なども使っています。2曲目の「Childhood’s End」の最後に入っている子どもの声は、難民の子供達を録った音です。

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