SUGIZOが語る、縄文文明から日本人が学ぶべきこと

真言宗の僧侶に参加してもらった

-「Childhood’s End」はヴォーカルの代わりに女性のメッセージボイスが入っていますが、あれは何を伝えているんですか?

あれはペルシャ語で、地球との共存を投げかけるメッセージです。「Childhood’s End」という曲は、このアルバムの中では、まだ現生に足をとらわれている段階の曲なんです。ただ、このアルバムの曲は基本的には1曲目の「Nova Terra」がまさにそうなんですが、自分の意識がもう次の時代に行っているんですよ。

-「Nova Terra」を訳すと“新星地球”という意味になりますが、SUGIZOさんの頭の中で作り直された理想的な地球を音にしていると?

そうですね。と同時に、屋久島からもインスパイアされていて、うっそうと繁った自然のイメージを描いています。6曲目の「The Gates of Dawn」も新しい地球が始まる、新しいエデンが始まるといった感じで、“夜明け”をイメージしていて。これはシンセで作っているんですけど、シンセに向かったら導かれるように曲が出てきました。

-かつて、EL&Pのキース・エマーソンのインタビューで「天から音が降ってくる」という発言を読んだことがありますが、それと同じですね。

そうかもしれないですね。宇宙とつながる感じ。宇宙意識が自分とつながって、全部自分の中に答えがあって。その感覚に心も身体も任せて宇宙とひとつになるようなイメージが自然と出てきましたね。

-8曲目の「CHARON ~四智梵語~」にある“四智梵語”は仏教用語ですよね?

はい。僕は仏教、中でも密教が好きなんですけど、この曲では真言宗の僧侶に集まってもらって、スタジオで唱ってもらいました。去年京都で参加したあるイベントで、自分の楽曲に真言宗の僧侶が10人くらい入っていただき、声明とコラボしたんですよ。それがすごく良くて、今回ぜひやりたかった。この四智梵語という声明はその中でも疫病を払う意味がとても強いということで、世の中の疫病を退散させたい気持ちで曲に昇華させました。

―ええ。

それと、この曲では神道の笙や神楽鈴、縄文の時代から存在していたとされる石笛(いわぶえ)という笛が使われています。石笛は小さな石に穴を開けただけの笛なんですけど、縄文時代の遺跡からも出てくるようなもので、日本最古楽器といわれているんですね。本当はこれを吹くスペシャリストがいるんですけど、コンタクトを取ることが困難で、仕方ないから自分で吹いたという(笑)。だから、真言宗の僧侶たちに参加してもらって仏教的なんだけど、同時に縄文のエネルギーも入っている。いろんな信仰が混じり合って、でもそれが否定し合うのではなくてお互いが尊重しあっている、そういう精神性を表現できたんじゃないかなと思っています。

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