川谷絵音が振り返る2020年の音楽シーン

川谷絵音(Photo by Yuuki Oohashi)


「僕はサブスクに合ってると思う」

―自身の楽曲のサブスクでの聴かれ方に関しては、どんな印象を持っていますか?

川谷:インディゴがめちゃくちゃ伸びましたね。Spotifyのパーセンテージを見ても、去年から200%以上伸びてるんで、もうリスナー数でも再生数でもゲスを超してる。

―「夏夜のマジック」の効果ということですよね。

川谷:そうです。それ以前はゲスの方が多かったんですけど、たった一曲、しかも昔出した曲(2015年)でリスナー数がここまで伸びるっていう。そういう意味で、僕はサブスクに合ってると思うんですよ。曲数が多いからいろんな入口があるんですよね。だから、どれからどれに派生するかわからない。サブスクの関連アーティストっていろんな人が出てきますけど、僕の場合は僕の関連ばっかりなんですよ。それは他の人にはあんまりない強みだと思う。細美(武士)さんがELLEGARDENとthe HIATUS、MONOEYESをやってるとかはありますけど、僕の場合はインストもあるし、バンドじゃないのもあるし、いろんな入口があるから何が起こってもおかしくない。だから、やっぱりサブスク向きだと思うんですよね。まだフィジカルの方が強い時代だったら、「ファンのお金がもたない」とか「どれかに集中しないと」みたいな話になると思うけど、サブスクなら月980円で全部聴けるわけだから。「いっぱいやっててよかったな」と今になって思います。


Photo by Yuuki Oohashi

―海外ではどの活動が一番聴かれてるんですか?

川谷:絶対数が多い分、インディゴだと思います。ただ、そこに関してはちょっと歯がゆいというか。アニメの主題歌をやった人には絶対勝てないんですよね。

―「海外で最も再生された国内アーティスト」のランキングを見ると、ほとんどがアニメ関連の楽曲ですよね。

川谷:そこに関してはどうしても納得がいかなくて。国内での人気と海外での人気がまったく違っちゃってるのは、どうなんだろうなと思っちゃうんですよね。

―途中の話で言うと、やはりシティポップには可能性があるとして、昔の楽曲のリバイバルではなく、現役のアーティストがいかにそれを打ち出せるかはひとつのポイントかもしれないですね。

川谷:マシン・ガン・ケリーの話もありましたけど、ああいうロックとヒップホップみたいに、シティポップと何か、みたいな組み合わせが大事なのかもなって。シティポップだけだったら、昔のものには絶対勝てないと思うので、シティポップと何か……その何かはまだわからないですけど、そこを上手く融合できた人が、もしかしたらアニメ以外の文脈から「海外で最も再生された国内アーティスト」になれるのかもしれない。

―川谷さん自身もそれは目指すところ?

川谷:やりたいとは思うんですけど、あんまり遠くを見ないようにしてる感じでもあって。狙ってしまうと大体人は失敗するものだし、自分が好きなものを作って、それが評価されたらいいなっていうのが一番です。なので、まずはバンドで納得できるものを作ることかなって。ただ、何かしらのビジョンを持つことは必要なので、その意味でも、「真夜中のドア/STAY WITH ME」が流行ってるのはいいことだなって。「2曲目だ」って思ったんですよね。

―「Plastic Love」が偶然のヒットではなくて、ちゃんと流れとして続くものであることがわかったわけですもんね。

川谷:僕は前から「シティポップしかない」って口酸っぱく言ってきたんで、「この流れが続くんだ」って思えたのは、何となく嬉しかったです。


●【関連記事】川谷絵音が選ぶ、2020年の10曲




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