AUTO-MOD山岡重行と手島将彦が語る、閉塞した社会におけるサブカルチャーの重要性

ー歴史上でも宗教戦争など色々な例がありますね。

山岡:なにより大事なのは、自分は間違っていてもいいんですよ。むしろ多くの人が間違いだと思っているからいい。そう思うものを社会のメインストリームの物や考えに対してぶつけて、許容させていく。そうしてメインカルチャーの視野を広げていったり、意識を徐々に変えていくのが、サブカルチャーの役目なんだと思います。ロックやラップに顕著ですが、それ以外の音楽ジャンルでも人々に伝えられると思います。

手島:間違っていてもいいというのは、僕も最近思っていて。ネットや政治などどこでも見られることですけど、自分の間違いを絶対に認めない、謝らない側面があるじゃないですか。それはもちろん本人の問題もあるんでしょうけど、間違いを許容しない環境もあるのかもしれないですよね。

山岡:『男はつらいよ』シリーズの寅さんなんかも、ほとんど間違えていますからね(笑)。迷惑を被るかもしれないけど、みんな寅さんが帰ってくるのを待っている。人間誰でも間違えたり失敗したりします。間違えや失敗する人を許容しないと、こうでなきゃいけないという固定観念が強くなり、失敗した他者や自分を許さないギスギスした世の中になってきますし、新しいチャレンジもできなくなり社会が行き詰まります。異質な人たちも普通に生活しているのが当たり前の社会、ダイバーシティーが社会を活性化させ元気にするのです。

手島:世の中としても、もうちょっと間違いや異質なものを受け容れてあげる雰囲気があってほしい。「ごめん、間違った!」で、許す雰囲気があってもいいと思います。



<書籍情報>



手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。

山岡重行
福村出版『サブカルチャーの心理学』

発売日;2020年8月30日(日)
定価:2500円(税抜)


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