ライが官能的なソウルを作り続ける理由「僕の役割はメロウな音楽で人々を癒すこと」

ライのマイク・ミロシュ(Courtesy of Caroline International)


「音楽と癒し」について

ービジュアル面への拘りも随所に感じられます。今回のジャケ写も自分で撮影を?

ミロシュ:そうだよ。いつもジャケ写は僕が撮影している。1stアルバム『Woman』だけ僕の写真ではなかったから、それがずっと引っかかってたんだ。自分のアートなら、ジャケ写も自分で手掛けるべきだと思うんだ。じゃないと何だか中途半端な気がしてね。新作の写真は、屋外の浴室から出てきたジェヌヴィエーヴを撮ったんだ。EP『Spirit』のときもニュージーランドの湖で撮った写真を使ったし、どうやら水と関係した写真が多いようだよね。普段から自然のなかで暮らして、海や湖、温泉などと接しているせいかな。僕たちの生活の一部という感じなんだ。

ーミュージックビデオにもいつも美しい女性が登場しますよね。女性を美の象徴として崇めているかのようで……。

ミロシュ:“崇める”はいいね(笑)。うん、インスピレーションを受けてる感じかな。彼女からインスパイアを受けることは多いし、お互いにそうありたいと願っている。彼女の写真を撮るのは、僕にとって大きな楽しみのひとつなんだ。写真を撮るのが大好きで、ほとんどオタクだね。僕の表現欲を満たしてくれるんだ。それにジャケ写は僕の音楽をビジュアル的にも表現してくれる。

ー「Black Rain」のMVでは俳優のアーロン・テイラー=ジョンソンが上半身裸でひたすら踊っていましたね。

ミロシュ:パンデミック下のロサンゼルスでビデオを撮影するのは、とても大変なんだ。4人以上で集まるとかって。元々アーロンとは親しい友人だったから、僕のビデオで踊ってほしいと頼んだら、二つ返事でOKしてくれた。それに彼のほうから“だったら妻のサム(・テイラー=ジョンソン、『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』などの映画監督)に頼んでみる?”と提案もしてくれた。お互い近所に住んでて、一緒にディナーをしたり、よく会ってるんだ。

ーあのビデオにはどのようなメッセージが込められていますか?

ミロシュ:アーロンは若い頃にバレエを習ってて、今でも毎日サーフィンをしているから、とても強靭な身体をしている。見れば分かるけど、内なるパワーも強靭なんだ。彼の演技もそうだけど、ある意味、天才的だと思うな。僕があのビデオで伝えたかったのは、2020年に起こった数々の苦難を乗り越え、打破しようってこと。「Black Rain」は、カリフォルニアなど西海岸一帯で起こった山火事をテーマにした曲なんだ。自宅を天災で失ってしまう恐怖や、そんな試練や障害に立ち向かい、乗り越えようと歌っている。彼は踊ってそうした障害を跳ねのけてくれたよ。単に踊ってるだけのビデオと映るかもしれないけれど、そういうメッセージも込められている。とはいえ、何となくでもいいんだ、そういう感じを受け止めてくれたら。



ー音楽で人々に癒しを届けたいと考えていますか?

ミロシュ:制作しているときは、そんなふうには考えないし、考えないようにしているけれど、ライの音楽を聴いて癒された、穏やかな気分になったとはよく言われる。音楽って重要なカルチャーじゃないかと思うんだ。世の中にある美しい行為って、じつはそれほど多くはない。森林破壊など、そうした行為に美しさは見出せないし、人間性の素晴らしさが発揮されるのは、やはりアートじゃないかと思うんだ。アートを創造することは、人間がなせる最も美しい行為のひとつじゃないかとね。なかでも音楽は、すぐさま人々に訴える力を持っている。知性ではなく、感情面に訴えかけることができる。すべての音楽が癒しというわけではないけれど、音楽による癒しは創造するクリエイター側とリスナー側の両者に作用する。ストレスが溜まりがちな現状だけど、僕にできるのは、そういう穏やかな気持ちを届けることじゃないかと思うんだ。僕の役割は、メロウな音楽で人々を癒す。そういうことだと思うんだ。

ー今はまだライブ活動は難しそうですが、今後の予定は?

ミロシュ:4月からヨーロッパツアーを予定していたけど、もしツアーが出来ないなら、またアルバムを作るかな。曲を作りすぎじゃないかって話もあるけれど……実際、この新作のために35曲ほど作ったしね(笑)。でも建設的でいたいから、そうだな、映画でも作ろうかな。映画音楽でもいいし。でも、やはりできればツアーをやりたいね。ステージに立つのは好きだし、自分の音楽を人々と分かち合って、ひとつに結ばれるのは、とても特別な感覚なんだ。人々と音楽をシェアする喜びは、他の何事にも替え難いよ。

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