田中宗一郎×小林祥晴「米ローリングストーン誌の年間ベストから読む2020年の音楽シーン」

米ローリングストーン誌が2020年の年間ベスト・アルバムTOP50を発表

音楽メディアThe Sign Magazineが監修し、海外のポップミュージックの「今」を伝える、音楽カルチャー誌Rolling Stone Japanの人気連載企画POP RULES THE WORLD。ここにお届けするのは、2020年12月25日発売号の誌面に掲載された田中宗一郎と小林祥晴による対談記事。

米ローリングストーン誌の年間ベストアルバムと年間ベストソングを他メディアの年間ベストと比較しながら、そこに独自の視点も加えつつ、2020年のポップシーンの動向を振り返ったものだ。ぜひPOP RULES THE WORLDが選んだ「今年を象徴する100曲」のプレイリストと併せて楽しんでもらいたい。

POP RULES THE WORLDが選んだ「今年を象徴する100曲」


田中 まず本国のローリングストーンの年間チャートから見ていきましょう。目立ったのは、ここ5年くらいローリングストーンはメインストリームのラップと並走してたんだけど、今年はその数が一気にガクンと減った。

小林 ベストアルバムに入っているのはミーガン・ジー・スタリオンとリル・ウージー・ヴァートくらい。

田中 でも、セールス的にはヒップホップやR&Bがチャートの大半を占めている状況自体は実はあんまり変わっていない。ダベイビーやロディ・リッチだけじゃなく、24kゴールデン、ジャック・ハーロウ、リル・モージー筆頭に、次々とニューカマーもブレイクしているし。

小林 パンデミック直後はポップとラップはストリーミング回数が落ちたというデータがあったんですけど、BLMもあってラップはすぐ勢いを取り戻した。

田中 質という面からも、アンダーグラウンドなヒップホップコミュニティから出てきた作品はかなり豊作の年だったとも言える。

小林 ピンク・シーフとかアーマンド・ハマーとか。The Sign Magazineでは2018年の年間ベスト1位にアール・スウェットシャツを選んでいますけど、そういった感覚が2020年は世界的に全面化してきたということですよね。手前味噌な話ですけど(笑)。

Earl Sweatshirt – Some Rap Songs


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