THE BLUE HEARTSを読む、悲しみと孤独から始まった人の絆を歌ったバンド

田家:そもそも、この本を書くことになった経緯、本の初めの方にTHE BLUE HEARTSのことは書いたことがないんだ、編集者に書かないかと言われたという話がありましたが、その時はどんな風に思われたんですか?

陣野:唐突だなと思いました。僕のことをよく知っている編集者だったので、僕にTHE BLUE HEARTSを書かせるというのは何か作戦があるのかなと思って。

田家:陣野さんの方からTHE BLUE HEARTSのことを書きたいんだと仰っていたのではないんですね。それで、コロナと重ね合わせて、2020年の視点から書き始めようということで。

陣野:そうですね。家にいてやることがないというよりは、色々なところに押し込められている人が今はいっぱいいると思うんですけど、そういう状況って1980年代の若い頃の自分に近い感じがしたのはありますね。

田家:全部の歌詞を縦書きにしてそれを読み込んでいったというのは、お話をいただいた時にそうしようとも思われたんですか?

陣野:逆に言えば、音楽として語るというのは難しいと思ったんです。音楽評論家でもないですし。でも、歌詞の視点としてならかけるかなと思ったので、詩として読んでみようと思いました。日本の詩って縦書きにならないと分からないところもあるので、一回やってみようと思って。

田家:どれくらい時間がかかりました?

陣野:最初に話が来たのは6月の頭だったと思うんですけど、3ヶ月後には全部終わってましたね。

田家:その中で一番苦労したのってどういうことでした?

陣野:僕は文学を研究したり、学生に話している人間なので、文学として読むことを考えたんですね。歌詞を縦書きにしたのもそうだし、それって合っているのか間違っているのか分からないじゃないですか。こういう扱いしてファンの人に怒られるかもしれないし、こんなこと必要ないって言われるんじゃないかとドキドキもしました。でも、出発点が間違っていても、行くところまで行くしかないと思ったんです。でも、最初の段階で間違ってるんじゃないかと言われたら、もう頭下げるしかないなと思いながら書いていました。

田家:色々な資料を引用されていますよね。それも読み込みながら、全体の章立てを考えていったんですか?

陣野:そうですね、自分が一番惹かれているものをずっと考えていたので、「青空」とか好きな曲を中心に、とは考えていました。

田家:「青空」がお好きなんですね。その曲を聴いてから、またお話を続けたいと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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