世界中で爆発的ヒット、オリヴィア・ロドリゴが異例のブレイクを果たした5つの理由

オリヴィア・ロドリゴ(Courtesy of ユニバーサル ミュージック)

米カリフォルニア州出身のシンガーソングライター、オリヴィア・ロドリゴの快進撃が止まらない。1月8日にリリースしたデビュー曲「drivers license(ドライバーズ・ライセンス)」は全米・全英シングル・チャートで4週連続で1位を継続中。もうすぐ18歳となる彼女がここまで支持されている理由とは? 歌詞や音楽性、本人のバックグラウンドを掘り下げることでヒットの秘密に迫る。

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きっかけは、よくある失恋だった。誰にでも経験があるものだ。10代の恋。何をしていてもその人のことしか考えられないくらい、夢中になった恋。そして、短命に終わった恋。今、私は一人で胸の痛みに苦しんでいる。でも、彼/彼女はもう、別の誰かと一緒にいる……。

誰もが経験したことのある恋と別れには、人の数だけそれぞれ個別のドラマがある。その胸の高鳴り、その悲しみ、その痛みは、誰にでもシェアできるものじゃない。

でも、その痛みや悲しみが、歌になったらどうだろう。個別具体的な経験が歌詞になり、メロディーとリズムに乗せられた途端、「よくある失恋」は誰もがシェアでき、口ずさめるポップソングになる。その歌を聴いた人々は、自分自身の経験が重なる部分をそこに必ず見出す。この歌は、私のことを歌っている――。そんな感覚を覚えさせてしまうのが、ポップソングの魔法だ。


オリヴィアは日本時間2月5日に米人気テレビ番組『ザ・トゥナイト・ショウ・スターリング・ジミー・ファロン』に出演し、「drivers license」のパフォーマンスを初披露。

2021年2月9日現在、初登場からなんと4週連続で全米シングル・チャート(Billboard Hot 100)の1位の座を占めているオリヴィア・ロドリゴの「drivers license」。この曲はまさに、そんなスペシャルな魔法がかけられたものだと言っていい。本稿ではその「drivers license」の魅力、そこにかけられた魔法をつまびらかにしていきたい。


①主役は「内向的な女の子」

まず、オリヴィア・ロドリゴという人物については、Rolling Stone Japanのこちらの記事に詳しい。2003年生まれの17歳で、カリフォルニア州テメキュラ出身。幼い頃から歌を習い、作曲もしてきた。また、俳優として『やりすぎ配信!ビザードバーク』(2016~2019年)や『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカル』(2019年~)というディズニー・チャンネルのTVシリーズで主演を務めている。言ってみれば彼女は、ディズニーアイドルだ。

とはいえ、音楽ジャーナリストの沢田太陽が指摘するように、オリヴィアが演じてきた役柄は、明るくて元気はつらつな従来のディズニーアイドルとはちょっとちがう。いわゆる「クイーンビー」のようなカリスマではなく、ナードっぽかったり、地味で内向的だったりするタイプなのだ。

これは、「drivers license」を理解するうえでも重要なポイントだと思う。というのも、「drivers license」の歌詞には“あなたはきっと、あのブロンドの女の子と一緒にいる”という一節があるから。これはつまり、この歌の主人公(≒オリヴィア)がクイーンビータイプの「ブロンドの女の子」ではないことを表している。

「drivers license」の主役は、目立ちたがりでもリーダーシップを発揮するタイプでもない、ちょっと内向的な女の子だ。だから、誰もが身近に感じられ、聴き手がアクセスするポイントを見つけたり、自己像を投影したりしやすい。

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