RADWIMPSの軌跡を読む 担当ディレクターが語るバンドとの友情



田家:FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」、音楽本特集Part2。小学館から2021年2月15日に発売になる渡辺雅敏さんの著書『あんときの RADWIMPS 「⼈⽣ 出会い」編』を素材にしながら、RADWIMPSの特集を送りしました。流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。

先週ご紹介した「ザ・ブルーハーツ: ドブネズミの伝説」は、第三者が書いた本です。今回の『あんときの RADWIMPS 「⼈⽣ 出会い」編』は、あの本とは対極で、一番近くで見てきた当事者であるスタッフが書いています。そして、そういう立場でなければ知ることができなかったエピソードが詰まっています。でも、いわゆる暴露本ではないですね。その場所にいたからこそ分かる、カメラがずっと回っていたようなフラットな距離感で、愛情もこもっていて、なぜこのエピソードを僕が書かないといけないのか? 僕が書くことでRADWIMPSをどう伝えるか? という目的が一貫して流れているので、読者も納得できる本です。

あとがきは野田洋次郎さんが書いているのですが、「読んで4回くらい泣いた。これはナベさんの歴史だ、これを鵜呑みにしてはいけない」とも書いているんです。鵜呑みにしてはいけないというのは、母親が語る息子を鵜呑みにしてはいけないという意味でもある。野田さんらしい愛情のある表現をしています。さらに「僕たちがここまで音楽を続けることができた一つの答えがここに書かれている」と、書かれています。このあとがきだけでも目を通していただけますと、RADWIMPSがどういうバンドかというのが分かると思います。

音楽のことをこうやって書く意味というのは、本人たちも知らないことがバンドやアルバム、曲の背景にはいっぱいあるんです。それを書くことで、その曲が増幅される。ビートルズがここまで時代を超えて聞かれているということの中には、情報が公開されていること、そして色々な人たちがビートルズを語っていることが、彼らをああいうバンドにしていると僕は思っています。日本の音楽の中にも、そういう本がたくさん出てくれるといいなと思いながら、今月の特集をお送りしています。ぜひ、音楽を読んでみてください。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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