デイヴ・グロールが語る、ドラム・バトルで得た2020年最大のインスピレーション

俺の人生の思い出のすべては音楽によって決まってる

ー一方で、「Holding Poison」という曲は非常フー・ファイターズらしい曲ですね。

デイヴ:そうだね。「Holding Poison」は本当にフー・ファイターズっていう感じの曲だと思う。この曲を書いてデモとしてまとめた時は、おなじみフー・ファイターズのサウンドでしかなかった。この曲を聴いたら、「ああ、フー・ファイターズね」ってすぐに感じるような曲だと思うよ。それでレコーディングがすべて終わった時、曲は全部で13曲ぐらいあったんだけど、いかにもフー・ファイターズっていう感じの曲が何曲かあったから、そういう曲はアルバムには収録しなかったんだよ。

ーそうなんですね?!

デイヴ:ファンに向けてだけでなく、自分たちに対してもサプライズになるようなアルバムにしたかったからね。「Shame Shame」をレコーディングした時だって、俺たち自身でもけっこう驚いたんだ。今までに全くやったことのないタイプの曲だったから、スゴくエキサイトできたんだよ。それで、アルバムに収録したのはそういうタイプの曲ばかりにしたんだ。「Learn To Fly」「Best of You」「My Hero」「Everlong」みたいな曲は今回は必要なかったんだよ。成長していく中でもハッピーであり続け、クリエイティヴのプロセスにおいてもエキサイトし続けるためには、少し自分のことをプッシュしないといけないんだ。俺たちはこのバンドをもう25年間もやってきてるし、俺自身はさらに長くバンドを続けてやっていきたい。だからプッシュし続けないといけないんだよ。

Foo Fighters - Shame Shame (Official Video)


ー同時にバッチリ楽しまないといけないですよね。

デイヴ:常にそうだね。何をやるにしても、仕事にしても、恋愛にしても、人生にしても、家族にしても、人生を上手く楽しんだ方がいいんだ。毎朝目を覚まして、今までとは違う新たなことを経験する。それで人間は前に進めるわけだから。それで俺たちの心臓は動くし、血液も流れる。それがクリエイティヴのプロセスにもなっていくんだ。

ーバンド活動が長続きする秘訣でもありますよね。

デイヴ:間違いないよ。俺はずっと変わらないようなバンドも好きだし、変わり続けることによって聴き手に考える機会を与えてくれるようなバンドも好きなんだ。俺たちはたぶんその二つの中間に位置するようなバンドだと思うんだ。

ー2020年は新型コロナウイルスの影響でライヴができなくなってしまいましたが、このアルバムの曲をライヴで実際に演奏したらめちゃくちゃ盛り上がりそうですね。

デイヴ:もちろん昔の曲を演奏するのも大好きだよ。「Everlong」は今でもやってて楽しいし、「This is a Call」も大好きだ。1stアルバムの曲をやるのも、他のアルバムの曲をやるのも、このニュー・アルバムの曲をやるのも、同じくらい楽しいんだ。それは音楽的にだけじゃなく、個人的にも、感情的にも何かを感じるから。俺自身、音楽に対して、個人的なつながりや感情的なつながりを求めてしまう傾向にある。だから、俺の人生の思い出のすべては音楽によって決まってるような感じなんだ。70年代の曲を聴くと、その曲を初めて聴いた時に自分がどこにいたのか思い出すし。ラジオでニルヴァーナの曲を聴くと、その曲をレコーディングした時にどんな服を着てたのかを思い出すんだ。フー・ファイターズの曲を聴くと、その曲を作った時の自分のヘアスタイルを思い出してしまうよ(笑)。

ー全部音楽とつながっているんですね。

デイヴ:そうなんだ(笑)。音楽とのつながりは不思議なものだし、エモーショナルなものなんだ。ライヴで10年前の曲、20年前の曲をプレイすると、オーディエンスの方も、それぞれがその曲に対する思い出を持ってるわけだから、みんなでシンガロングをする時には、その時代を祝福するような時間に変わるんだ。それって、バンドをやってて最高なことの一つなんだよ。フー・ファイターズは俺一人のバンドじゃなくて、みんなのものなんだ。だからそれをみんなと共有すると、俺たちは一つになれるんだよ。

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