デイヴ・グロールが語る、ドラム・バトルで得た2020年最大のインスピレーション

フー・ファイターズ(Photo by Danny Clinch)

通算10枚目となる最新アルバム『メディスン・アット・ミッドナイト』を世界同時リリースしたフー・ファイターズ。最新全英チャートではトップ10圏内のほかの9作のセールス総計を上回る売り上げで1位を獲得。全米チャートではトップ3に初登場。ここ日本でも発売当日のデイリーチャートで総合アルバムチャート1位を獲得するなど、世界的なロックバンドのアルバム・デビュー25周年という節目を飾る作品になった。

今回、デイヴのオフィシャルインタビュー完全版をRolling Stone Japanにて掲載。聞き手はライター・編集の大野俊也。

ーニュー・アルバムはめちゃくちゃノリがよくて踊れる、ロック・ダンス・アルバムに仕上がりましたね。2020年のフー・ファイターズのアルバム・デビュー25周年をお祝いするような意味合いもあるのですか?

デイヴ:このアルバムの曲作りを始めたのは、1年半前ぐらいなんだ。2020年はデビュー・アルバムの25周年イヤーになるし、俺たちにとってビッグな年になるはずだったんだよ。だから、今までにやったことのないことをやりたいと思ったんだ。それでいろいろ昔の音楽を聴いてみたり、ファストでヘヴィでハードなパンク・ロックやハード・ロックを聴いてみたり、アコースティックやオーケストラの入った素敵なバラード・スタイルの曲を聴いてみたりしたんだ。そこで気づいたのは、俺たちは今までにグルーヴをメインにしたアルバムを作ったことがないっていうことだったんだよ。グルーヴっていうのは、聴いた人が身体を動かしたくなったり、ダンスしたくなったりするようなビートのことだ。俺自身小さい頃から、ダンスしたくなるようなロックンロールを聴いて育ったんだ。スライ&ザ・ファミリー・ストーンとかデヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズのような、ロックなんだけど、ファンクやダンスの要素が入った音楽を好きで聴いてた。だけど今までそういう音楽にチャレンジをしたことがなかったんだ。それで決めたんだよ。メロウで素敵な音楽を作るんじゃなくて、昔のロックのように、パーティのノリのアゲアゲの音楽を作ろうってね。それで2019年9月にレコーディングを開始して、2020年1月にレコーディングは終わってた。スゴくエキサイトしてたよ。さあ、これから25周年イヤーだ。パーティしよう。世界中を回ろう。スゴくデカいことになるぞ。……なんて思ってたら、すべてが止まってしまったんだよね(苦笑)。

Foo Fighters - No Son Of Mine (Official Video)


ー新型コロナウイルスのせいですね……。でも、この新作ではダンスしたくなるようなアルバムを作ろうという意図がハッキリとあったわけですね。確かに新作を聴くと、かつて人々がロックでダンスしていた時代の音楽を彷彿とさせます。60年代、70年代、80年代と、ロックはある意味最高のダンス・ミュージックだったわけですから。

デイヴ:ダンス・ミュージックの歴史を振り返ってみると、いつだって最初にダンスありきで、その音楽はミュージシャンが楽器をプレイして作ってたわけだ。ファンク、R&B、ソウルの始まりはバンド演奏だったし、60年代、70年代のロック・バンドはそこにチャレンジしてるんだ。何人か集まってみんなでグルーヴを生み出すのがバンドだし、俺はそれがスゴくエキサイティングなことだと思う。特にビッグ・コーラス、ビッグ・ギター、たくさんのエネルギーが入ると最高のものになる。俺はそういうのをずっとやりたかったんだけど、タイミング的に今だとは思えなかったんだよね。だけど今回、そのタイミングがやっと来たんだよ。このアルバムの曲にも、フー・ファイターズらしいメロディ、フー・ファイターズらしい歌詞はちゃんとあるよ。でも、テンポとグルーヴに関しては、今までにやったことのないことをやりたかったんだ。俺は元々ドラマーだから、音楽をリズムでとらえるし、打楽器を演奏するマインドでとらえるのが大好きなんだ。だから、どんな曲でも、ストレートなロックンロールの曲であろうと、グルーヴとフィーリングたっぷりの曲にすることができるんだ。だから今回はそういうことをやってみたんだよ。フー・ファイターズの音楽を違うリズムの音楽に変えてみたらこうなったって感じさ。

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