コロナ禍で世界進出した日本人アーティストから探る、アフターコロナの音楽シーン

ーおふたりは今はアメリカと日本という物理的距離がある中で楽曲制作をされていますが、それぞれの工程での確認作業はどのようにされているんですか?

Kirk:データを送ってもらってそれぞれで確認し、二人で電話で話しながらブラッシュアップしています。DANTZさんとは呼吸が合うんです。

DANTZ:僕もKirkも感覚が近いんです。お互いに何を言っているかがわかるんですよね。

ー音楽というもので一緒に上がっていくパートナーとして、“感覚が合う”ことはかなり重要ですよね。

DANTZ:そうですね。アメリカに一緒にいる時も、車でテクノやハウスをかけたりするんですけど、「これいいじゃん!」みたいにどのジャンルでも同じ曲に反応することが多い。「このジャンルが好き」とかではなく、感覚的な好みが近いんだと思います。だから作曲作業もすごくやりやすいです。

Kirk:ぶつかったこともないですよね。

DANTZ:お互いの感覚を信頼してますね。

ー楽曲制作の面で、エンジニアリング以外に大事にしていることはどういったことですか?

DANTZ:自分にしかできないことをやることですね。ヨーロッパでEDMやハウスの曲を出した時、いつも周りから「個性を出さないとダメだ」と言われてきたんです。欧米で求められるのは、曲の良さだけではなく、唯一無二性。日本人である自分にしかできないことをどうやって音で表現するかを考えた時、哀愁とか奥ゆかしさといった情緒をメロディに取り入れようと思ったんです。自分の目指す世界観…欧米に受け入れられるメロディの中に奥ゆかしさを出すために、ベストの1つだったのが琴の音色だったので、「Let You Go」や「On My Way」には琴の音を使っています。琴もあまり「和」に聴こえないように、洋楽に馴染ませるための弾き方にしてもらっています。Kirkの「Donbrako」も、三味線を使ってるよね?

Kirk:そうですね。あの曲は、僕がアトランタに住んでいた時に出来上がっていた曲なんです。沖縄出身でアトランタに住んでいる友達が当時、三味線の音にハマっていたので取り入れて。「どんぶらこ」って桃太郎の桃が流れてくるときの擬音じゃないですか。実はアトランタ州の国旗が桃なんです。アトランタには、ストリップも多くていわゆる「ケツの文化」も盛んで(笑)。“Peach State”アトランタ、ケツの文化、日本の昔話「桃太郎」など全部が合体して、出来上がった曲なんですよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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