BABYMETALが語る、ヘヴィメタルから教えてもらったこと



海外で培った胆力とパフォーマンス力


ー2014年、BABYMEATLの初めてのワールドツアーについてSU-METALさんは「雰囲気的にドイツのゴリゴリのメタル感に圧倒された」と語っていましたよね。ヨーロッパのメタルファンって「これはメタル! これはメタルじゃない!」というジャッジが厳しそうな感じがしますけど、本物のメタルファンが何万人もいるようなフェスの舞台を通して、2人が気づいたことや学んだことは何かありますか?

SU-METAL:それまで海外に行くことが全然なかったので、身体にいろんな絵を彫った人を見るのも初めてでしたし(笑)、しかもそういう人が大勢いる中でライブをする。そういうところに戸惑うところから私たちの海外ツアーはスタートしたんです。フランス、ドイツとまわって、イギリスのソニスフィア・フェスティバルにも出演して、フランスは日本のカルチャーが大好きな女の子たちが多くて、私たちをカワイイって目線で見てくれて、ドイツの人はメタル寄りで見ていたから、短い期間でも私たちの見られ方が全く違うということにまず驚いて。そして、ソニスフィアでは、みんなBABYMETALを知らない状態。「誰だろう? この子たち」っていう、すごくアウェーな環境でした。むしろ、私たちのことを嫌ってた人もいっぱいいたんじゃないかなって。

でも、その時に思ったことは、反応が素直だなって。日本だとライブを観ていて誰も手をあげないと、恥ずかしくて自分から手をあげにくかったりするじゃないですか。向こうの人って楽しいと思ったらそういう反応を示すし、そういうのがすごくリアルにわかって。だんだん波のように自分たちの音楽が広がっていく、しかも海外で、メタルのフェスで、っていうのが見えた時は本当に感動しましたね。



MOAMETAL:ドイツのメタラーの人たちは正直最初怖かったです。ステージから見ててもすごい怖い顔してるし……って思ってたんですけど、次第に彼らは本当にメタルを愛してるんだなってことに気づいたんですよね。自分が好きな音楽を愛しているから、私たちを品定めするような感じで「本当にコイツらメタルを愛してるのか? 俺たちと同類なのか?」っていう目でチェックされてるんだなって。私たちも愛を持ってメタルをやってるし、この音楽を信じてメタルをやってるから、ちゃんと自分たちの信じてる音楽を届けるしかないと分かって、それを体現してたらどんどんキツネサインが広がって、「伝わるってこういうことなんだな」ってうれしくなりました。

ー逆に終始緊迫した状態で……みたいなことはなかったんですか?

MOAMETAL:ステージに出た直後はアウェーなことばっかりでしたね。

SU-METAL:海外だとスマホで動画撮影するのが当たり前なので、お客さんの顔ではなく頭上に掲げられたスマホが目に入るっていう状況にまず驚いて。でもライブが激しくなってきてモッシュが起こると、そのスマホが減ってくんですよ。それが面白いなと思いました(笑)。

MOAMETAL:向こうのフェス会場って敷地が本当にだだっ広いじゃないですか。だからお客さんがライブ中に捌けていく様子も全部見えるんですよ。私たちは「ああ、捌けていっちゃった」ってことに、最初はショックを覚えたりしたんですけど、ツアーの途中から「あの人は捌けちゃったから、BABYMETALのステージの後半の曲は聴けないんだ」とか、動じないようになってきたし、逆にライブの途中から見に来てくれる人も目に入るようになって、そうやってアウェーでも楽しめるようになっていきましたね。

ーそうやってタフになっていったと。

MOAMETAL:日々鍛えられていった感じです。若いなりにその大変さを理解してなかったのもよかったなと思ってて。今だったら怖がってしまうようなことも、割とへっちゃらにできていたので。毎回がトレーニングだったけど、すごく楽しかったです。

SU-METAL:誰も教えてくれないし何も知らなかったからできたことなのかなって思いますね。そんな中で毎回学んでいって。普通に考えたらあの規模のライブで学べる人っていないと思うんですよ。だけど、私たちはそれが毎回だったから。

MOAMETAL:しかも勉強してから行くんじゃなくて、勉強せずに行く。その場で学ぶしかない。

SU-METAL:アハハ。吸収力も高かったしね。

MOAMETAL それが当たり前だと思って勉強するから、どんどんいろんなことを覚えていきました。

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