真心ブラザーズ中野サンプラザ公演、10人編成で奏でたソウルミュージック

歌の良さが際立つアルバム『Cheer』の曲を散りばめつつ、90年代後期に発表されたアルバム『GREAT ADVENTURE』、『I will Survive』、『GOOD TIMES』からの、ホーンセクションを活かしたソウルフルな楽曲が目立ったこの日のセットリスト。そんな中で前半のクライマックスとなったのが「FLYING BABY」だ。ギターのコードストロークに始まり、バンドは淡々と同じリズムパターンを繰り返しながら徐々に熱を上昇させていく。“気になることは気になるまま そのままで”。YO-KINGの歌声は、大観衆を前にしながら、特定の1人だけに向けて切々と語りかけているようだった。解き放たれ一体となったアウトロの演奏が終わると、客席からは大きな拍手が贈られた。


YO-KING

中盤はYO-KING、桜井、上野、須貝の4人編成となり、1ワードで押し切るファンクロック「ふっきれてる」、疾走感のある「紺色」で、ソリッドな演奏を聴かせる。YO-KINGの静かな弾き語りに始まりバンドが加わって爆発的なサウンドへと変化する「素晴らしきこの世界」から、 “ぼくらはもっと正しくなくていいよ”と歌う「不良」へ。争いの絶えないこれまでの世界とコロナ禍の世界が続けて歌われる、メッセージ性のあるセクションとなっていた。換気タイムを挟んで桜井が「1曲、全力で歌唱させていただきます!」と、ギターを置いてマイクを手にステージ前に出て「あれあれ、あの、あれ」を、ビッグバンド風サウンドをバックにステージ狭しと動き回り、煽りながら熱唱した。間奏のYO-KINGのギターと伊東のピアノのソロ掛け合い、桜井がホーンセクションの間に入ってのスキャット等、見どころ聴きどころたっぷり。サビのコール&レスポンスは声に出せないものの、会場中の心の声が響いた瞬間であった。

Rolling Stone Japan 編集部

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