Gotchが語るシーンの越境から手に入れたもの、音楽を未来につなぐためのトライアル

Gotch(Photo by 山川哲矢)


離れた場所に住む人たちで作ったアルバム

―インドネシア出身のDhira Bongs、彼女とはどこで知り合ったんですか?

Gotch:2017年の京都音博で共演したんですよ。そこでLINEの連絡先を交換したら、彼女のシングルのレコーディングに誘われて。その作業の終盤にこっちでは「The Age」を作っていて、彼女にも声かけたんです。ちゃんと岸田(繁)くんにもLINEで報告しました。

―「The Age」では彼女とともに、Keishi Tanakaさんが参加しているのも面白い組み合わせですね。

Gotch:いつかゴスペルっぽいコーラスがやりたいって話をAchico(Ropes)によく相談してたんですよ。「Nothing But Love」も、当初はあそこまでクワイアで広げずに、ドゥーワップくらいの人数感でストリートっぽい感じがいいねって話していて。「それならケイシと私の2人がいればできるよ」ってAchicoが言ってくれてたんですよね。ケイシのアルバムにAchicoが参加したときの話も聞いていたし。でも、あの曲は最終的に僕の選択はクワイア・チームで広げる方向になって。

「The Age」は教会のクワイアというよりは、コーラスの人数を抑えてやりたいイメージだったから、それならケイシとAchicoだなって。この辺は他でもゆるく繋がっていて、mabanuaのソロにもTurntable FilmsのアルバムにもAchicoが参加しているんですよね。



―YeYeさんはどうですか?

Gotch:(Gotch名義で)一番最初にリリースしたシングル『Lost』にも参加しているから、僕のソロでは古株です。彼女は声もいいし存在感も含めて面白いですよね。舐められるのは許せないみたいな、意外とパンクな人で。

―京都のYeYeさん、インドネシアのDhira Bongsさんといったふうに首都圏の人だけで作っていないのも面白いですね。

Gotch:「Endless Summer」でキーボードを弾いてるコイチくんは西宮に住んでいて。彼は韻シストのサポートもやっていて、そこでBASIさんと繋がったりして面白いですよね。今、東京にいなきゃいけない理由なんてあんまりないなって思うんですよね。制作費やサウンドに合わせて、場所を選んでもいい時代になっているような気がします。

―そういう意味では、離れた場所に住んでいる人たちで作ったアルバムでもあるわけですよね。

Gotch:威張って言うようなことではないけど、好きなところに住みながら活動できる時代だから。コロナで東京にいたって誰にも会えないんだったら、地方でもいいじゃんって思っちゃうというか。転換期ではあるかもしれないですね。アメリカのミュージシャンだって都心にスタジオを構えてないわけですから。

―今回の驚きは、skillkillsのビートさとしさんの起用でしょうか。

Gotch:skillkillsは2020年の出会いのなかで一番のディープインパクトだったんです。日暮愛葉さんの現場で一緒に作業したんですけど(アルバム『A』を後藤とskillkillsのGuruConnectが共同プロデュース)、あの兄弟のバイブスが最高だったんです。あんな狂った音楽を作ってるわけだから、さぞかし癖のある人たちで、俺のことなんて絶対好きじゃない感じの人が来ると思っていたら、全く逆で。底抜けにポップだし音楽の才能もあるし、一緒にいて最高に心地いい2人って感じですね。



―彼のビートが入ることで、これまでの後藤さんの音楽とは違うものが確実に入ってきてますよね。

Gotch:何がすごいって、シモリョーが作った難しい割り方のビートを、打ち込みの訛り方も含めてそのまま叩けちゃうところですよね。デジタル・オーディオ・ワークステーションに彼の技術が追いついているわけですよ。それがすごいなと思う。

―このアルバムはすごくキャッチ―でポップだと思うんですけど、ビートさとしさんのリズムみたいに、しっかり聴くと変なところがいっぱいある。さらに言えば演奏面のみに限らず、録音でも攻めてるのが面白いところだと思います。とにかく音がいいですし。

Gotch:音をよくするのはここ数年の目標として頑張っていたことなので、ひとつの達成かなと思ってます。自分が深く関わったミックスを「コールド・ブレイン・ワークス」と呼んでもいいような、自分の仕事として完成できた感覚があります。音響的な側面に関しては、この先プロデュースするにしろ、何かを作るにしろ、自信になった作品ではありますね。

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