moumoon・YUKAと手島将彦が考える、アーティストが「悩みを相談できる場所」

手島:特に今はコロナ禍ということで、ミュージシャンに限らず皆がつらい中で頑張って生きている人って多くなっているじゃないですか。この前、業界の方とそういう話もしていたんですが、こういう世の中の状況に対して、音楽業界一丸となって何かメッセージを出してみたらどうかなと思ったりはしています。チケットの違法売買に対しても、大きなメッセージを出したじゃないですか。あれで一気に変わった面もあると思うんですよね。枠組みとか対策はないけど、まず言ってみるっていうのが意外といいことっていうのもきっとあって。例えばですけど、[メンタルは大切ですよ、音楽はいつもあなたの心に寄り添っています]、みたいなベタなことでいいので、業界としてそういうメッセージをバーンっと打つ。そうすれば、急に動き出したりとかする部分もあるのかな、とか思ったりしてますけどね。

YUKA:一つコピーを考えて打ち出してみて、それが広がっていくことで少しずつ意識が変わっていくというのはかなり効果があると思いますね。

手島:僕らが一番得意でできることって、何かを発することだと思うんですよね。具体的なメッセージじゃない場合もあるかもしれないけれども、何かを世に問うことで、何かが動き出す。そういう大きな力があると思うから。漠然としていて申し訳ないんですけど、意外とそういう何かメッセージを出す方が合っているんじゃないかな。せっかくそういう発信力を持っている人たちなので、産業として言ってみたらいいのにな、と思います。

YUKA:心の悩みを抱えていたことをオフィシャルで言うミュージシャンも少しずつ増えてきているじゃないですか。もっとオープンに言えるようになることで、ひっくり返る可能性はありますよね。とりあえず言葉に出してみることが大事だというのが、手島さんが本を書こうと思ったきっかけというところでもあるんですか?

手島:それはありますね。極力分かりやすく書こうと思いましたし、アーティストっていう言葉に引っかかって、色々な人が読んでくれたらいいなとも思いました。僕は別に精神科医ではないですし、高度な専門知識とか技術を持っているわけではありません。ただ、基本的なことがまだまだ知られていない状況ですので、まずは多くの人に基本的なことを届けたい、僕がやりたいと思っていることを届けたい、それしかないんですよね。

YUKA:それを書いていただいたおかげで、私もとても勇気をいただきました。そういうアーティストや読者は他にもいっぱいいると思うので、一つ一つ自分の得意な形で発信していくことが大事なんだってすごく思います。



<書籍情報>




手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

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