山中さわお、ロックンロールに染まったツアーファイナル「音楽がどうしても必要なんだ」

「ロックンロールを楽しもう!」という言葉とともに、演奏は再開し「Slide in tomorrow!」、「Permanent black sheep」など、立て続けに披露。山中がギターソロを奏でる場面では、ロックンロールに酔いしれ、ロックンロールを楽しむ姿が光る。「無理難題と待ち合わせ」、「不格好でもまだ死ねない」と歌い上げて、「敵がいるなら戦うぜ!」と叫び、逆風の時代の中でも持ち前のロックンローラーとしての矜恃を見せつけた。新旧入り混じったセットリストの曲を聴いているうちに、例えば「Permanent black sheep」の「ブーイングを浴びても言うよ 好きなだけ」、「僕に何が出来るんだ はみだし者が喚いているだけ」と、彼はいつも自分が言いたいことを言葉と音にして、伝えてきてくれていたことを改めて実感する。それを、時には音が割れてしまうほどの力強い声で、山中は精一杯ギターを掻き鳴らして歌う。


Photo by 岩佐篤樹

彼はMCで「俺もこの歳で1年に作る曲数をあんなに(多く)出すとは思わなかったよ、ちょっと頭おかしくなってたのかな」、「色々な曲を作って、本来俺はソングライターとしては時事ネタを取り入れないタイプではあるんだけど、去年はどうしてもそれが自分の感情に入り込んできて、いくつかそういう歌を作ってしまった。この曲は今後も自分自身に対して、できれば君たちにも特別な曲になってほしいと思ってる」と語って次の曲「サナトリウムの長い午後」へ。「心を奪い返しに行こう」と、時には身体を震わせながら歌う山中の声は、どの楽器の音よりも響いてきた。山中は伝えたい言葉を特に分かり易く声を張りあげている。今回組んだセットリストは、新旧問わない様々な楽曲のメッセージが溢れていたが、以前の曲も、この時代の中で聴くからこそ改めてメッセージが胸に伝わってきた。コロナ禍でライブをしづらい日々が続いたが、それでもライブで示したい、伝えたいことが溢れていた。

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