DEAN FUJIOKAが語る、ルールが変わった世界で表現する音楽と絵本

―当初考えていた2回目のアジアツアー等が“プランA”だったとして、配信ライブから始まる活動の流れを「Plan B」としたということですか。

もちろん、自分の話も含めてなんですけど、世の中のコースが一気に変わったことを直視しなければいけないということと、“プランA”しかないことの危うさを感じざるを得なかったと思うんです。負のスパイラルみたいなものが生まれたと思うし、コロナと関係あるかどうかはわからないけど、仕事が続けられなくなったりとか。そういうものに対して、ただ時間の経過と共に過ぎ去っていくにはまだ早いと感じて、そこに対して自分はどういうメッセージを一表現者として形にするのかはすごく大きかったです。

―そうなると、音楽表現の仕方もおのずと影響を受けざるを得ないですよね。

そうですね。例えば、どっちの方向もありだと思うんですけど、「ネガティブをポジティブに変えていく」のと、「ネガティブをネガティブとしてとことん掘り下げていく」という。「Take Over」に関して言うと、前に向かうイケイケのエネルギー、ネガティブをポジティブに変換するようなサウンド作りを心がけて、そのエネルギーをリスナーの方々に感じてもらえる希望を届けたい気持ちがありました。

歌詞の表現で言うと、リモートだったり、スクリーンを通してのコミュニケーションの仕方が普通になったじゃないですか? それによって人間が情緒を感じるポイントが前に進んだと思うんですよね。だから歌詞の中で使う言葉が明確に変わったし、スクリーンに映し出されるもの、使ってるアプリの機能だったり、人間が生理的にどういう反応をするのか、「Take Over」の歌詞を書く上ですごく影響を受けました。

「ネガティブをネガティブとしてとことん掘り下げていく」という意味では、「Plan B」はこのタイミングでリリースしなければいけないものだなと思っていて。この曲って、1番しかなくて、キメラみたいな構造になっていて川の流れのように進んでいくんです。例えば、未来が閉ざされて絶望してしまうような時、どういう精神状態なんだろうって考えたときに、そこに自分の波長を合わせてみて出てきたサウンドのイメージとか言葉選びを形にしたんです。何か「Plan B」を持っていればそれは避けられていたかもしれない意味も込められているし、それだけ生きていれば何が起こるかわからない、人の意思が及ぶその先のわからない“運命の手”みたいな存在を感じるというか。やっぱり、みんな日々これだけ生きてきたのに、「全部ぐっちゃぐちゃになっちゃったな」みたいな感じだと思うんですよ。

―本当に生きてる全員がそうですよね。

人によっては、自助努力ではどうしようもないところまで行ってしまったりとか。世の中の風向きも人間がどこに情緒を感じるかも変わった。これを1つのゲームだとすると、ルールが変わったわけですよね。だから、そういう中で自分が配信ライブをやるってなったときに、今まで通りライブをやってそれを映像として見せるのは、そもそも認識が間違っていると思っていたんです。

Rolling Stone Japan 編集部

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