DEAN FUJIOKAが語る、ルールが変わった世界で表現する音楽と絵本

―単純にライブをそのまま見せるのではない配信ライブ映像というのは、どんなイメージだったのでしょうか。

自分のイメージとしては、ホラー映画に近いものだと思いました。ホラー映画って、例えば毎5分ごとにちょっとサプライズを入れて、エンディングまで観ている人の注意を引き続けるフォーマットが脚本を作る段階からあるんですよ(笑)。

―観ている人の興味が失われないようにしないといけないわけですね。

そうです。ジャブを打ち続けて、「起きてる? 来るよ? でもまだ来ない」みたいな押し引きがあって。人は、何かを伝えようとするアクション、何かを受け取ろうとするアクション、お互いが歩み寄ったところで通じ合うものがあると思うんです。スクリーンを介してやるのはどういうことなんだろうって考えて。配信ライブという新しいフォーマットでどうやったらエンターテインメントとして人の興味を引き続けられて、尚且つこちらの届けたいものを届けられるか考えたときに、それしか興味を引き続けられる方法が思いつかなかった。消去法なのかもしれないですけど。普通、ライブ会場だったら遮断されて音圧と光とかで一気にその世界に没入させるわけじゃないですか? それと同じ演出を作るには、この方法しか自分には思いつかないなって。それがないと、どれだけ最新のテクノロジーを映像で使ったとしても、結局同じことで。アテンションスパン(集中持続時間)が切れたらもう15分後には消しちゃってると思うので。そこはシビアに自分と対話してシミュレーションしながら作っていきました。

―「Plan B」のサウンドは、配信ライブのコンセプトとリンクしたものになっていたわけですね。



そうですね。配信ライブの中で、いくつかサプライズを用意したんですけど、そのうちの1つで「刷り込みを裏切る」というものがあって。例えば昔のファミコンとかで、無意識に「どう考えてもここから先は行けない」ような刷り込みがあったと思うんです。山とか森のマークがあったらそこにキャラクターを進めてもぶつかっちゃって入れないみたいな。でも、入れないと思ったところに足を踏み入れたらまったく違った視点が生まれるって、ある意味“プランA”から「Plan B」になる。そこらへんの比喩もすごくリンクさせましたね。バンドの後ろにあるステージの奥行きの方にまで入って行っちゃうみたいな(笑)。越えられないと思っていた線を越える、想像もしてなかった視点が生まれることは楽曲の中にもすごくフィーチャーしてます。故に、リピートはしない、流れていく構造にして、静かに始まってフワフワした異空間に迷い込んで行って、最後はバッキバキで終わる感じで(笑)。

―前半、アンビエントな曲かと思ったら、後半で一気にテンションが上がってエンディングまで行きますね。1曲の中が2部構成になっている印象です。

そこはこだわったというか、そこもストーリーテリングの1つとして使った感じです。

Rolling Stone Japan 編集部

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