未だ謎多きUKバンド、ジャンゴ・ジャンゴが「音楽のモンスター」になるまでの物語

シャルロットとの共演、日本で過ごしたときの記憶

—シャルロット・ゲンスブールの参加も話題ですが、彼女との共演はどのように実現したのでしょう?

デイヴ:ぼくらは同じレーベル所属(フランスのBecause Music)なんだけど、「Waking Up」のデモができあがったときに、自然と彼女のことがすぐに頭に浮かんだんだ。ダイナミックな彼女のヴォーカルがハマったら、曲に奥行きが生まれるような気がして。レーベルを通してデモを送ったらもともとバンドのファンだし、すぐに「曲が気に入った」と連絡をくれた。だから電車でパリまで行ってレコーディングしたんだ。

—「Waking Up」はサウンド面でもゲンスブールのDNAを感じました。

デイヴ:その通りだよ。歌詞のテーマはボニーとクライドをイメージしているし、古いロードムービーっぽい感じだとかロマンティックな逃避行って、シャルロットにぴったりだと思うんだ。そのイメージを見事に再現してくれたよ。



—プロデューサーとしての視点で、『Glowing in the Dark』について、「Default」の頃にはできなかったけど、今だから実現できたことを挙げるとすれば? 

デイヴ:自分のスタジオにドラムセットを置いたことだね! これまではスペースがなくて無理だったんだ。だからドラムを録りたいときは、セットのある別のスタジオにいちいち行かないといけなかったし、実際そうやって制作するのはちょっと無理があって。やりたいことが思うようにできなかったから、今回のアルバムでは絶対に手に入れようと決めていたんだ。「Night of the Buffalo」なんかは、自分のスタジオにドラムセットがなかったらできなかった曲だと思う。



—年齢や経験を重ねたことで、バンドのあり方も変わってきましたか?

デイヴ:そうだね。それぞれがもっと音楽に集中できる環境が整ってきて、音が少し成熟したような感じはあるかな。プロダクションにこだわる部分が増えて、それぞれの曲にかける時間も長くなったし。みんなで毎日のように呑んで騒いで二日酔いになっていたころよりは、生活がずいぶんマシになったっていうか(笑)。クラブに出かけるよりも家やスタジオで過ごす時間が増えて、細かいマイクのセットアップとかを気にするようになってきたね。1stアルバムの頃は若かったし休まず動いていられたけど、今はそうもいかないよ(笑)。

—ロンドンもロックダウンが長引いていると思いますけど、2012年のフジロック以来となる来日公演も期待したいです。

そうだね。もうずいぶん前のことにも感じるけど、まだツアーをはじめたばかりの頃に呼んでもらったから、あのときのライブのことはよく覚えているんだ。あんなに大勢の前でライブをすること自体に慣れていなくて、心の準備もできていない状態だった。ギターのチューニングにもやたら時間がかかったりして焦ったんだけど、それでもちゃんと観てくれている人たちが多くて、みんなやさしいなって思ったよ(笑)。ぜひまた日本でライブをしたいし、日本のカルチャーもすごく好きだから、ゆっくり遊びに行ってみたい。自分にとっても訪れるたびに新鮮な驚きがある場所だよ。前に東京に行った時は、渋谷の東急ハンズとゲーセンのアーケードゲームで1日潰れたのをよく覚えてる(笑)。






ジャンゴ・ジャンゴ
『Glowing in the Dark』
発売中
試聴/購入リンク:https://caroline.lnk.to/GLOWING
アーティスト日本公式サイト:https://carolineinternational.jp/django-django/

Translated by bacteria_kun

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