錦戸亮が語る「さすらいの道」

36歳のフィルターを通したらこんな感じになる

ーバンド演奏の話に戻すと、ストリングの人たちとのバランスも含めて、すごくいい空気感でしたよね。例えば今回のアルバムにも収録されている「Tokyoholic」や「スケアクロウ」は、錦戸さんが前にいたグループのライブでもやっていたわけで、それらが今錦戸さんのステージで鳴らされると感慨深いものがありますね。

錦戸:僕が作った曲に関して言うと、作り方は前とそんなに変わってないんです。デモの段階から自分が全部歌ってるわけですし、そういう意味でも自分の曲という感覚です。ただ、演奏する人が変わったとしても、作った人がまず一番上手くやるべきだろうとは思っていて。僕にとっては「原曲」みたいなイメージですかね。

ーライブを見てても最近の曲なのかなって思うくらい、違和感なく溶け込んでいるなと。でも「スケアクロウ」は2011年にリリースされた曲なんですよね。作り方は変えず、淡々と作ってきたものを、今一人で出してるっていう。

錦戸:僕、いま36歳なんですけど、36歳のフィルターを通したらこんな感じになるんじゃないですかね。

ーそれが錦戸さんの「味」になってる。

錦戸:恥ずかしいって思う気持ちがありながらも、歌えるというか。もちろん、曲によって歌えるものと歌えないものはありますし、もしかしたら数年後に今作ってるやつが全部恥ずかしくなるぐらいに思えたら、それはすごく成長したと言うのかもしれないですけど。

ー昔の曲と今の曲を並べても、ちゃんと錦戸さんの曲として成立しているということは、意識せずとも錦戸さんの音楽的な軸っていうのはあって、それはずっと変わってないのかもしれないですよね。

錦戸:ああ、かもしれないですね。根本ってことですよね。

ー2ndアルバム『Note』について、アルバム全体を通して聴くと、前作の表題曲「ノマド」級のキャッチーで掴みが強い曲が多い印象を持ちました。これは結果的にそうなったという感じですか?

錦戸:去年のアルバムの後からずっと書きためていた曲もありますし、このアルバムのために新しく書き足したものももちろんあります。いろんな受け取り方ができそうだなと思って、『Note』という名前にしたんですけど(笑)。使ってる音とかはそんなに変わってないと思うんで。流行りとか関係なく、奇をてらったわけでもなく、僕の中での直球というか。

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