[Alexandros]が語る、10年かけて築いたバンドの形と「サトヤス勇退」の意味

勇退について3人が思うこと

―そういう真逆の2人がリズム隊を組んでいるのもバンドの面白いところですよね。

洋平:ただ、俺はサトヤスをリズム隊と思ったことないんですよね。リズム隊は俺とヒロなんですよ、どっちかって言ったら。俺とヒロがリズム作って、リードギターがまーくんで、サトヤスがリードドラマー。で、俺がヴォーカルっていう感じなんですよね。サトヤスが「上手い」かどうかって言ったら正直俺は分かんないです。もっと上手い人はいっぱいいるし、8ビートとかはもっと気持ちいい人いると思うんですよ。そこじゃない何か、何て言うのかな、驚かしてくれたりとか、スゲーって言わしてくれる方の「上手い」なんですよね。俺とかヒロって普通なんですよ。で、その普通にみんなが乗ってくれているのがこのバンドなんですよね。

磯部:洋平のリズムギターも普通じゃないけどね、それは良い意味でね。

洋平:うん。で、そこでリズムを作ってたでしょ。俺のアウトしてるところをヒロが抑えて、そこでまずリズムの土台を作る。そこにサトヤスが乗っかってる感じなんです。サトヤスは、自分はバンドのコックピットだって言ってるんだけど、違うの! 土台じゃない。それが俺らの特徴的なんですよ。普通、ドラマーが支えるって言うじゃないですか。サトヤスは引っ張るんですよ。だからヒロがすごく大変だったと思う。サトヤス、抑えろ!抑えろ!って。ヒロのベース感はそこでも培われた気がしますけど。でもサトヤスってそこがいいんですよ。アウトしていいじゃん!って、そこをヒロがいろんな角度を見て、ちゃんと緩衝材みたいな感じの役割を果たしていた。そのサトヤスのドラマーっぽくないドラマー感が何よりの魅力でしたね。

―そういうサトヤスさんの突破力もバンドの空気になっていたと思いますが、サトヤスの勇退を3人はどんなふうに受け止めていますか?

洋平:寂しいっていうのが一番大きいかな。でも、生きてるし、近いから会おうと思ったらいつでも会えるし。なんだろうなぁ、やっぱり、あー寂しいなと思いますね。でも、心配とかはないですね。俺さえいればアレキサンドロスだし、俺が引っ張ってやると思うから。サトヤスいないぐらいで揺らぐとかはまったく思わないんで。だってサトヤスいなくても全部できたし。ただサトヤスの[Alexandros]、[Champagne]はまぁ美しかったから。そこはもう二度とできないんで。もう一回同じようなことをやろうと言っても同じような人は絶対にいないと思うんですよ。サトヤスと同じような人って本当にいない。だからまた新しいバンドを結成する感じなんでしょうね。それぐらいサトヤスのキャラクターってあるから。俺がソロをやらない理由はそこで、適当に集めたメンバーだけどなんか合ってきちゃったみたいな感じなんですよ。一つの共通の目標があって、それをやってると段々と自分だけのものが外れてきて、バンドに合ってきた感じなんです。また新しいドラムを見つけたらそれを作るのに時間がかかるっていうのはあるだろうけど、そこはあんまり心配はしてないです。ただ寂しい。もう裸になる人いないのかなとか(笑)。

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE