第63回グラミー賞総括 女性アーティストが主要4部門を独占し、ビヨンセがグラミー史に名を刻む

グラミー賞に輝いたビリー・アイリッシュ、ビヨンセ、ミーガン・ジー・スタリオン、テイラー・スウィフト Kevin Winter/Getty Images (3), Cliff Lipson/CBS ©2021

第63回グラミー賞授賞式では、ビヨンセ、ミーガン・ジー・スタリオン、テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュなどの女性アーティストが栄冠を勝ち取った。

とくに注目すべきは、最優秀アルバム賞、最優秀楽曲賞、最優秀レコード賞、最優秀新人賞からなる主要4部門を女性アーティストが独占した点だ。同賞を主催するレコーディング・アカデミーの元会長、ニール・ポートナウが「女性側がステップアップしなければならない」と発言し、激しい批判を浴びてからわずか3年の快挙だ。『フォークロア』で最優秀アルバム賞を受賞したテイラー・スウィフトは、同賞に3度輝いたグラミー史上初の女性アーティストとなった(2010年に『フィアレス』が、2016年に『1989』が最優秀アルバム賞を受賞)。H.E.R.(ハー)の「アイ・キャント・ブリーズ」が最優秀楽曲賞に、ビリー・アイリッシュの「エブリシング・アイ・ウォンテッド」が最優秀レコード賞に輝いた。アイリッシュが同賞を受賞するのは昨年の「バッド・ガイ」を含めて2度目だ。

ミーガン・ジー・スタリオンも歴史的快挙を成し遂げた。というのも、女性ヒップホップアーティストが最優秀新人賞を受賞するのは、1999年のローリン・ヒル以来なのだ。さらにテキサス州ヒューストン出身のミーガンは、ビヨンセとのコラボ曲「Savage」のリミックスで最優秀ラップ・ソング賞と最優秀ラップ・パフォーマンス賞を受賞。受賞後は、タップダンサーとともにハリウッドの黄金時代を彷彿とさせる「Body」と「Savage」の見事なパフォーマンスを繰り広げ、カーディ・Bとの大ヒットコラボ曲「WAP」を初めてライブで披露した。

3月14日は、ビヨンセにとっても歴史的な夜となった。最優秀R&Bパフォーマンス賞を受賞した「ブラックパレード」をはじめ、4部門に輝いた彼女の累計受賞回数はなんと28回。これは、31回という最多記録保持者である指揮者のゲオルグ・ショルティに次ぐ記録だ。それだけでなく、ビヨンセとジェイ・Zの愛娘ブルー・アイビーも母ビヨンセとともに初のグラミーを受賞。ブルー・アイビーは、最優秀ミュージックビデオ賞に輝いたビヨンセとウィズキッドのコラボ曲「Brown Skin Girl」のMVに出演している。

生中継の授賞式で発表されたほかのアワードも紹介しよう。ハリー・スタイルズの「Watermelon Sugar」が最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を受賞し、スタイルズにとって記念すべき初グラミーとなった。さらには、バッド・バニーのアルバム『YHLQMDLG』が最優秀ラテン・ポップ/アーバン・アルバム賞に輝いた。デュア・リパは、アルバム『フューチャー・ノスタルジア』で最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞を受賞した。

Translated by Shoko Natori

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