第63回グラミー賞総括 女性アーティストが主要4部門を独占し、ビヨンセがグラミー史に名を刻む

3月14日の夜のハイライトはアーティストたちによるパフォーマンスだった。それに対し、歴代の最優秀レコード受賞者をフィーチャーし、いたるところに散りばめられていた短編ドキュメンタリーは精彩を欠いた(アカデミー賞やゴールデングローブ賞から拝借した穴埋め的な要素にしか思えない)。だが、ニューヨークのアポロ・シアター、テネシー州ナッシュビルのステーション・イン、ロサンゼルスのトルバドールやザ・ホテル・カフェなど、パンデミックによって危機的状況に陥った独立系ライブ会場のオーナーや従業員に受賞者を発表してもらうという主催者のレコーディング・アカデミーの試みは、こうしたライブハウスの現状に人々の目を向けさせるという点で素晴らしかった。

例年どおり、実際の賞の大半は生中継前に手渡されている。14回にわたるノミネーションを経て、ナズの『King’s Disease』が最優秀ラップ・アルバム賞を受賞。念願のグラミーを手に入れた。さらには、初ノミネートとなったザ・ストロークスのアルバム『The New Abnormal』が最優秀ロック・アルバムに輝いた。

その他のグラミー賞初受賞者には、次のアーティストが含まれる。ナイジェリアの人気シンガーソングライターのバーナ・ボーイ(『Twice as Tall』が最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞を受賞)、ティファニー・ハディッシュ(『Black Mitzvah』が最優秀コメディ・アルバム賞を受賞)、ザ・ハイウィメン(「Crowded Table」が最優秀カントリー・ソング賞を受賞)、シンガーソングライターデュオのギリアン・ウェルチ&デヴィッド・ローリングス(『All the good Times』が最優秀フォーク・アルバム賞を受賞)。有名プロデューサーのケイトラナダは、『Bubba』で最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム賞と、シンガーソングライターのカリ・ウチスとのコラボ曲「10%」で最優秀ダンス・レコーディング賞を受賞し、2冠を達成した。

ほかにも、フィオナ・アップルの『Fetch the Bolt Cutters』が最優秀オルタナティブ・アルバム賞を、同作に収録されている「Shameika」が最優秀ロック・パフォーマンス賞を受賞。サンダーキャットの『It Is What It Is』が最優秀プログレッシブ・R&B・アルバム賞、レディー・ガガとアリアナ・グランデのコラボ曲「Rain on Me」が最優秀ポップ/グループ・パフォーマンス賞、ジョン・レジェンドの『Bigger Love』が最優秀R&Bアルバム賞、ミランダ・ランバートの『Wildcard』が最優秀カントリー・アルバム賞に輝いた。

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今年は、他界した数名の大物アーティストにも死後受賞という形でアワードが贈られた。ジョン・プラインの「I Remember Everything」が最優秀アメリカン・ルーツ・ソング賞とパフォーマンス賞を、レゲエ界のレジェンド、トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズのリーダー、トゥーツ・ヒバートの『Got to Be Tough』が最優秀レゲエ・アルバム賞を、ジャズ界の巨匠チック・コリアの「All Blues」が最優秀インプロバイズド・ジャズ・ソロ賞を、コリアとクリスチャン・マクブライドとブライアン・ブレイドのトリオによる『トリロジー2』が最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞した。

From Rolling Stone US.

Translated by Shoko Natori

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