岡林信康がぶっ壊そうとした「フォークの神様」のレッテル

Good-bye My Darling / 岡林信康

(スタジオ)

田家:「メイキャップお嬢さん」はコロンビアの3枚目のアルバム『セレナーデ』、「Good-bye My Darling」は1979年の『街はステキなカーニバル』に入っていました。この曲は当時好きだった記憶がありますね。もし岡林さんがフォークの神様と呼ばれていなかったとしたら、この2曲はいいポップスとして皆に聞かれたと思うのですが、フォークの神様がこれをやったわけですから、聴いた人は「岡林どうしたんだ?」と思うでしょうね。何をやってもどうしたんだと言われてしまうポジションにいたということの表れですね。そして、フォークの神様ということについて、こういう風に思えるというのが年齢でもあり、時代の変化なんでしょうね。当時はブッ壊してやろうと思っていた。それが今思えば、そういう風に呼ばれたから次々と色々なことをやろうと原動力になっていた。フォークの神様と呼ばれてよかったと思うということに、僕は拍手をしたいと思って聞いておりました。

続いて、アルバム『街はステキなカーニバル』のタイトルのイメージをインタビューで伺っております。聴いていただく曲はこのアルバムから「山辺に向いて」です。

(インタビュー)

岡林:あの頃は頻繁に街に行ってたから。俺にとっては一回出た東京だけど、街とはなんなのかなって思って。でも街って必要だし、楽しいし面白いし。そういうところからのこのタイトルかな。

田家:このアルバムの中には「君に捧げるラブソング」とか「山辺に向いて」という名曲も入っていますが、あれは都会の歌じゃないですもんね。

岡林:田舎にいながら都会も肯定するというか。その前は都会を否定して山村に行ったんだけど、両方とも人間にとって大事というかね。ベースになるものは田舎だし俺は東京に住む気はないけど、都会は祭りだと思うんよね。本来2,3日で開催する祭りを延々と頑張ってやってくれるから、時々覗きに行って刺激を受けて楽しむというか。アルバムの基本になってるのは「山辺に向いて」とかああいう世界だけど、たまに行ってダンスするにはいい相手だと思って。

Rolling Stone Japan 編集部

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