岡林信康がぶっ壊そうとした「フォークの神様」のレッテル



(スタジオ)

田家:この曲は大阪や東京などの大都会で暮らしていたら絶対に書けない曲でしょうね。自然の中で山を見ながら朝日や夕日を見たりすることで、自然と自分の中から生まれた曲です。『街はステキなカーニバル』には、街の歌と田舎の歌と両方ありました。岡林さんは京都の山の中から東京に遊びに行っては、東京という遊び場で楽しんでいたというアルバムですね。このアルバムには「ロックン・ロールしてるかい!?」という曲もあるんですよ。この頃、岡林さんはビクターに移って、事務所もアミューズに入りました。アミューズはまだサザンオールスターズがブレイクする前でそんなに大きな事務所ではなかったんですが、そこでこういうアルバムを作りました。結果的には、推して知るべしで彼はそこを離れることになるんですが(笑)。1980年にもう一枚ビクターからアルバム『ストーム』が出たのですが、これは加藤和彦さんがプロデュースして、演奏がムーンライダーズなんですよ。このアルバムは今聴くといい作品ですね。そして、岡林さんはロンドンに行ったりもしている。彼が一番行動的だった時期の作品ですね。次のインタビューは加藤和彦さんについて訊いております。曲は「DORAKU LADY」です。

(インタビュー)

岡林:加藤和彦に出会って、ロンドン辺りに行って向こうの音楽事情とか知ったほうがいいよ、面白いよって言われて。

田家:加藤和彦さんとはどうやって知り合ったんですか?

岡林:テクノが当時流行っていて。彼はテクノやってたけど、俺はテクノのこと分からんから加藤に訊くしかないなと思って俺から電話したと思う。俺もテクノっぽいアルバム作りたいんだけど助けてくれよって言って。「ほんまにテクノやるんか」って言われた気もするけど(笑)。それからロンドン行ってこいとも言われて。

田家:ロンドンはいかがでした?

岡林:面白かったよ。俺もそんな人の歌を聴くのに熱心じゃないから、洋楽はあまり知らないのよね。ボブ・ディランとザ・バンドばかり聴いてたんで、そういう音の世界しか知らなかったのに、ロンドンは色々なものが溢れてたな。小さいライブハウスに行ったり、色々見たり聞いたりして。なぜかロンドンで細野(晴臣)に出会ったりしてね。プラスティックスという日本のバンドがライブハウスでやるっていうから行ったら、細野がいて。ミカ(サディスティック・ミカ・バンド)もいたよ、ミカもロンドン住んでてな。連絡くれて一緒に飯食って面白かった。

田家:ロンドンは楽しめたんですね。

岡林:楽しかったよ、その後はニューヨーク行ってね。最初にニューヨークに2週間くらいいて、その後ロンドンに1週間くらいいて、最後ニューヨークに帰って日本に戻って。

田家:このアルバム『ストーム』は、今聴くと一番いい時期のムーンライダーズが演奏していて、いいアルバムですね。

岡林:ムーンライダーズ最高やろ?

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE