アダルト業界も注目、デジタル資産「NFT」とは?

「ポルノ」は無料ではない

ノックスさんは、NFT制作がセックスワーカーにとってさらに象徴的な意味がある、と考えている。動画サイトや海賊版ポルノの世界では、ポルノは使い捨て商品のように見られているが、NFTポルノはそうした文化的な見方を覆す。「かつてLimewireの時代には、みんななんでもダウンロードしていた。それが可能だったから、どこでも手に入れられるくらい、簡単に入手できるもんだと叩き込まれていたからよ。アートも音楽もヌードも、お金を払って買うものなんだと教育することは、セックスワーカーの将来に大きな1歩となるわね。カスタマイズされた限定コンテンツにお金を払おうと促すわけだから。ポルノにお金を払うよう、叩き込んでいるのよ」

もちろん、いくつか大きな障壁もある。ノックスさんが言うには、運営維持費(とくにイーサリアム換金処理費用)が問題になる場合もあると言う。また、仮想通貨の将来性にまつわる不透明さも、敷居をわりと高くしている。それに加え、現在アダルトコンテンツのクリエイターにNFT制作を認めている多くのマーケットプレイスがこの先もそうさせてくれるのかどうか、はたまたメインストリームのプラットフォームに倣って、性的にきわどいコンテンツをすべて粛清するのかどうかもわからない。また、年齢確認規則によってヌードや猥褻なNFTを売るクリエイターが成人年齢に達しているかを確かめるすべもない。「買い手が何歳なのか、コンテンツに映っているが誰なのか、その人がいくつかなのか、同意の上なのかどうかもわからない。私にとってはそれが一番の懸念ね」とCryptonatrixは言う。

だが、そうしたネガティブな可能性は新しいテクノロジーにはつきものだし、アダルトクリエイターたちは楽観的だ。仮にプラットフォームが職場での閲覧注意なコンテンツを取り締まり出しても、アダルト産業向けの新しい空間やプラットフォームが出てくるだろう。「ここには金のにおいがぷんぷんするからね」とアエラさんも言う。「それはみんなも知ってるわ」

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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