スティングが語る「多様性」と「好奇心」 多彩なアーティストとのコラボ作『デュエッツ』を聴く

スティング(Photo by Mayumi Nashida)

2019年にリリースされた通算14枚目のアルバム『マイ・ソングス』で、ポリス時代とソロ名義の楽曲をリミックスや新録音でアップデートしたスティング。そのアルバムを携えての来日公演を行ったことも記憶に新しい彼が、これまで様々なジャンルや言語、世代のアーティストたちとコラボレートしてきた楽曲を、1枚にまとめたニュー・アルバム『デュエッツ』をリリースした。

本作のアイデアをスティングが思いついたのは、昨年アメリカのジャズ・シンガーであるメロディ・ガルドーと、リモートでレコーディングを行ったのがきっかけだったという。

「僕のギタリストであるドミニク・ミラーが、『リトル・サムシング』の作曲者の一人だったことから一緒に歌ってくれないかと言われ、『もちろん歌うよ』と答えたんだ。ただし会って一緒に歌ったのではなく、違う国のそれぞれのスタジオでディスタンスをとって歌ったんだ。パンデミックな関係だった、というのかな」



本来、シンガー同士が向き合って歌う「デュエット」は親密な行為である。しかし「リモート」という手段を使えば、たとえ物理的な距離があっても行うことが可能だと彼は気づいた。それを機に、これまでの自身の作品を見直してみたところ、本人も忘れていたデュエット曲がたくさん見つかったという。

「例えばシャルル・アズナヴールとの曲、最近のものではミレーヌ・ファルメールとの『ストーレン・カー』。これは大ヒットした。それからGIMSとも歌ったし、エリック・クラプトン、ハービー・ハンコック、メアリー・J.ブライジとも。これらを1枚に集め、人と人が一緒にいられない時代にこそ、アルバムでつながれたら良いんじゃないかと思った。そんなわけで『デュエッツ』は偶然の産物ながらも、とても満足のいくアルバムになったよ」

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